乾癬への新薬ルミセフ®は有効だがリスクも
乾癬は関節リウマチなどと同様に免疫の異常が原因で起こる、自己免疫疾患です。近年、分子標的薬による療法が注目されており、新薬が続々と登場しています。ニューヨークの研究チームがブロダルマブ(商品名ルミセフ)の効果・安全性を検証する試験を行いました。
抗インターロイキン療法とは
免疫系細胞がだす、自分の体の成分を攻撃しろという信号(インターロイキン:IL)の伝達をブロックする、薬が多数開発され、製薬会社は激しい競争を展開しています。特に、今世紀に入って発見された細胞(Th17)とそれが出すIL-17は注目をあつめています。
乾癬患者1800人以上を対象に分析
この研究では、中等度~重度の1800人以上の患者を対象とし、IL-17の信号をブロックする新薬であるブロダルマブの効果・安全性を、既存薬ウステキヌマブ(商品名ステラーラ、別のILをブロック)および偽薬と比較する試験を行ないました。
ブロダルマブは有効
12週の試験期間後PASI 100という乾癬の重症度を示す値がブロダルマブで36.7%、ウステキヌマブ18.5%、偽薬で0.3%と、ブロダルマブの有効性が示されました。
副作用としては、
IL-17A
欧米で患者が多いこともあり(日本は乾癬患者数が欧米より一桁少ない)、この分野は新薬開発ラッシュ状態で選択肢は増えており、近い将来それぞれの薬を実際に使ったときの効果や副作用がはっきりしてくることが期待できます。
2016/9/28編集部追記
ブロダルマブを有効成分とする製剤のルミセフは、日本で9月30日に世界に先駆けて発売される予定です。
追記にあわせて、本文中に現れる薬剤名について商品名を追記しました。
執筆者
Phase 3 Studies Comparing Brodalumab with Ustekinumab in Psoriasis.
N Engl J Med. 2015 Oct
[PMID: 26422722]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。