20代で指の骨が破壊される「乾癬性関節炎」、新薬アプレミラストの効果は?

乾癬性関節炎は若い人に多い病気です。手の指などの関節に炎症を起こし、骨を破壊します。原因は自己免疫と考えられています。ほかの薬を使っても症状が続いている人に、アプレミラストが効果を現したことが報告されました。
乾癬性関節炎をアプレミラストで治療する研究
世界の99施設で行われた研究の結果が、専門誌『Journal of Rheumatology』に報告されました。
この研究は、以前にほかの薬で治療を受けている乾癬性関節炎の患者を対象に、新薬のアプレミラストで治療する効果を調べています。
乾癬性関節炎とは?
乾癬は皮膚にガサガサした変化を現す病気です。原因は
乾癬の患者の数%程度が、乾癬性関節炎と呼ばれる状態になります。乾癬性関節炎では手の指などの関節に
ほかの薬で治らない人が対象
現在使われている治療のひとつが、DMARDsと呼ばれる種類の薬です。DMARDsは免疫を弱くすることで関節炎を抑えます。ここで紹介する研究では、6か月以上乾癬性関節炎が続いていて、以前にDMARDsの治療を受けたことがある人が対象とされました。
対象者はランダムに3グループに分けられました。
- アプレミラスト20mgを1日2回飲むグループ
- アプレミラスト30mgを1日2回飲むグループ
- 有効成分のない偽薬を飲むグループ
治療によって、痛みのある関節や腫れのある関節の数が20%以上減るなどの基準(ACR20)が達成されるかを判定しました。
アプレミラストで改善あり
治療から次の結果が得られました。
ITT対象集団(484人)において、治療16週におけるACR20は、偽薬群(18.9%)よりもアプレミラスト20mg1日2回の群(37.4%、P=0.0002)およびアプレミラスト30mg1日2回の群(32.1%、P=0.0060)で多く達成された。
最も多い有害事象は下痢、吐き気、頭痛、
上気道 感染症 だった。
アプレミラストを飲んだ2グループのどちらでも、偽薬のグループより多く、ACR20の基準を満たす改善がありました。
副作用の可能性があることとして、下痢、吐き気、頭痛、風邪のような感染症が見られました。
解釈
乾癬性関節炎を確実に治せる方法は見つかっていません。DMARDsなどで効果が出る人もいますが、いろいろな薬を試しても重い
アプレミラストは現在(2016年9月)、日本で「尋常性乾癬および関節症性乾癬」に対して承認申請中です。近い将来、実際の治療で使われる可能性があります。
執筆者
A Phase III, Randomized, Controlled Trial of Apremilast in Patients with Psoriatic Arthritis: Results of the PALACE 2 Trial.
J Rheumatol. 2016 Sep.
[PMID: 27422893]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。