2016.01.25 | ニュース

胃のバイパス手術による合併症はどんな人で起こりやすいか?

手術を受けた2,238人を対象に調査

from JAMA surgery

胃のバイパス手術による合併症はどんな人で起こりやすいか?の写真

過度な肥満になった場合の治療法の1つに、胃バイパス手術という方法があります。胃バイパス手術は、胃の一部を切除して胃を小さくすることによって消化吸収を抑える手術です。研究チームは、手術後に起こりうる合併症について報告しました。

◆胃バイパス手術を受けた2,238人のその後の症状を調査

研究チームは、2006年から2011年にデンマークで胃バイパス手術(ルーワイ胃バイパス手術)を受けた2,238人の患者を調査対象としました。その後、対象者から手術後の症状を自己申告してもらうことで、胃バイパス手術にともなって起こる問題(合併症)にはどのようなものがあるかを調査しました。

 

◆胃バイパス手術を受けた患者の89%に症状が現れた

胃バイパス手術を受けた人のうち、1,429人から手術後の症状についての自己申告がありました。それらのデータの分析の結果、以下のことが分かりました。

患者のうち、88.6%にあたる1,266人が、胃バイパス手術後の平均4.7年間の間に1つ以上の症状を報告した。

つまり、自己申告した患者の88.6%に、何らかの症状が起こっていたことが示されました。

さらに、合併症について以下のことが分かりました。

胃バイパス手術後に、医療従事者に連絡が取られた最も一般的な症状は、腹痛(489人[34.2%])、倦怠感(488人[34.1%])、貧血(396人[27.7%])だった。症状のリスクは、女性(粗有病比:1.23、95%信頼区間:1.11-1.37)、35歳未満(有病比:1.24、95%信頼区間:1.13-1.36)、喫煙者(有病比:1.11、95%信頼区間:1.02-1.20)、失業者(有病比:1.15、95%信頼区間:1.06-1.24)、胃バイパス手術をする前に外科的症状があった人(有病比:1.34、95%信頼区間:1.25-1.43)でより高くなっていた。

この研究から、胃バイパス手術による合併症には、腹痛、倦怠感、貧血が多いことが示されました。そして、それらの合併症は、女性、35歳以下の患者、喫煙者、失業者に多く見られる傾向があることが示唆されました。

 

性別や年齢は変えられないものの、喫煙や失業による生活習慣への影響が胃バイパス手術の合併症に繫がっていた可能性も否定出来ません。また、重篤な合併症はこの研究では確認出来ませんでしたが、胃バイパス手術後に何らかの症状が現れた場合には、すぐに医師に相談するようにしましょう。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Prevalence of Self-reported Symptoms After Gastric Bypass Surgery for Obesity.

JAMA Surg. 2016 Jan 6. [Epub ahead of print]

[PMID: 26747510]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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