2015.05.12 | ニュース

減量手術は長期的な死亡率を減少させる?

肥満患者9,962人を対象に追跡調査を行う
from JAMA
減量手術は長期的な死亡率を減少させる?の写真
(C) PeJo - Fotolia.com

過度の肥満患者に対して減量手術が行われることがあります。 日本において、治療が必要であると医師が判断した場合に、保険診療で行われています。 今回、米国の研究チームが減量手術の効果を検討し、減量手術を行った過度の肥満患者は、手術をしていない患者と比較して長期的には死亡率が有意に低下していたと報告しました。

◆減量手術とは?

肥満が指摘され、食事療法や運動療法で体重を減らすことが出来なかった人に行われます。

手術を受けるためには条件があり、日本肥満症治療学会のガイドラインによると、以下の条件が挙げられます。

*いずれも医師が必要と判断した場合に手術が行われる

手術の方法にはいくつかの種類がありますが、日本でよく用いられている手術はスリーブ上胃切除術であり(保険適応)、胃を細くすることによって、あまり食べたくなくなる、食べてもすぐ満腹になるといった効果があります。

 

◆9,962人を対象に分析を行う

研究チームは減量手術の長期的な効果を以下の方法で調べました。

2000年から2011年の間に、退役軍人局の肥満センターにて減量手術を行った患者2500人を特定し、彼らに対して7,462人の対照患者を[...]マッチングした。

手術による効果をみるために、手術を受けた人と受けていない人の生存率を比較し、統計解析を行いました。

 

◆減量手術は長期的な死亡率の低下に関係

調査結果は以下の通りです。

手術を受けた2,500人の平均年齢は52歳でBMIは47.0だった。

マッチングされた対照患者7,462人の平均年齢は53歳でBMIは46.0だった。

手術を受けた群の死亡者は平均6.9年のフォロー期間に263人、マッチングされた対照群は平均6.6年のフォロー期間に1,277人だった。

ほかの関連する要因を調整した分析で、減量手術を受けたことは、フォロー期間の最初の1年間の全死因死亡率との間に統計的に有意な関連が認められなかったが、フォロー開始後1年から5年および5年から14年の死亡率減少と関連していた。

このように、手術を受けた群とマッチングされた群は、フォロー開始後1年間では死亡率に差がないが、長期的に見ると有意に差が見られる結果となりました。

研究チームは、「減量手術を受けた人は、手術を受けていないマッチングされた人に比べて手術後5年と手術後10年の死亡率が低かった。今回の研究結果は、これまでの研究でより若い、女性が主体の集団に対して示されてきた減量手術と死亡率の有益な関連に対して、更なるエビデンスを与えるものである。」と述べています。

 

どの手術方法が適しているかなどについてはこの研究では検討されていませんでしたが、更なる追加研究が期待されます。

今回の結果を、専門の医師のかたはどのようにお考えでしょうか?

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Association Between Bariatric Surgery and Long-term Survival

JAMA. 2015 Jan 6

[PMID: 25562267]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。