◆減量手術で病気は減らせるのか?
減量手術は、消化や吸収を抑えるために、胃を切除するなどの手術を行う治療法です。重度の肥満の人に対して、肥満によって起こる病気を予防する目的で行われることがあります。
今回の研究では、減量手術を行った患者228人を対象に、病気の発症との関連性を検証しました。減量手術は、バイパス手術とスリーブ状胃切除術を対象としました。
◆減量手術で糖尿病を予防?
以下の結果が得られました。
手術から3年後までに、2型糖尿病の寛解は、ベースラインで糖尿病であった対象の95%(95%信頼区間85-100)、異常な腎機能の寛解は86%(95%信頼区間72-100)、前糖尿病状態の寛解は76%(95%信頼区間56-97)、血圧の上昇の寛解は74%(95%信頼区間64-84)、脂質異常症の寛解は66%(95%信頼区間57-74)の人に見られた。
減量手術を行った人の多くが、糖尿病、腎機能、血圧、血中脂質の改善が認められたという結果でした。
今回の研究では、手術をすることで糖尿病や腎機能が改善したという結果でしたが、比較する対照群がいないため、どの程度の効果があったか正確にはわかりません。しかし、多くの人の病気が改善していることは、効果が現れたひとつの例として考えてよいかもしれません。
執筆者
Weight Loss and Health Status 3 Years after Bariatric Surgery in Adolescents.
N Engl J Med. 2015 Nov 6
[PMID: 26544725]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。