2016.01.13 | ニュース

敗血症の治療にステロイド薬、有効か有害か?

最近の研究を含む文献調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
敗血症の治療にステロイド薬、有効か有害か?の写真
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ステロイド薬は人体に必要な副腎皮質ホルモンと同様に働く薬で、さまざまな病気の治療に使われます。敗血症に対しては、これまでに対立する意見がありましたが、最近の研究を含めて多数の研究報告をまとめた結果が報告されました。

◆2010年からのアップデート

敗血症とは、感染症が重症になり、病原菌が血液に乗って全身に流れ、全身の炎症反応を引き起こしている状態のことです。この状態では副腎皮質ホルモンが不足し、ステロイド薬で補うことで治療効果があるという説がありますが、その反面、ステロイド薬には免疫を抑える作用も知られているため、敗血症を悪化させるのではないかという説もあります。

研究班は、敗血症に対するステロイド薬の効果について調べた過去の研究報告を、文献データベースから一定の基準で集めました。2010年にも同様の方法でまとめた報告が出ていましたが、それより後の研究も含めてアップデートする狙いで改めて調査が行われました。

 

◆28日以内の死亡が少なくなる

見つかった研究データを統合して、次の結果が得られました。

副腎皮質ステロイドは、28日死亡率を減少させた(27件の試験、3,176人、リスク比0.87、95%信頼区間0.76-1.00、P=0.05、ランダム効果モデル)。

ステロイド薬を使うことで、治療開始から28日以内の死亡率が低くなると見られました。

ステロイド薬の副作用として、免疫を抑えるほか、胃潰瘍高血糖などが知られていますが、副作用についての結果は以下のようなものでした。

副腎皮質ステロイドは、胃十二指腸出血(19件の試験、リスク比1.24、95%信頼区間0.92-1.67、P=0.15、固定効果モデル)、重感染(19件の試験、リスク比1.02、95%信頼区間0.87-1.20、P=0.81、固定効果モデル)、筋力低下(3件の試験、リスク比0.62、95%信頼区間0.21-1.88、P=0.40、固定効果モデル)を引き起こすことなく[...]高血糖のリスク(13件の試験、リスク比1.26、95%信頼区間1.16-1.37、P<0.00001、固定効果モデル)、高ナトリウム血症のリスク(3件の試験、リスク比1.64、95%信頼区間1.28-2.09、P<0.0001、固定効果モデル)を増加させた。

ステロイド薬を使うことで高血糖と高ナトリウム血症の危険性が増えると見られました。その一方で、胃または十二指腸からの出血、ほかの病原体の感染、筋力低下を起こすとは言えないというデータが得られました。

 

敗血症は命に関わる危険な状態で、救命に役立つ治療を確立することは重要です。ステロイド薬の役割については長年議論されていますが、最近のデータをまとめたこの結果が今後の議論の足がかりになっていくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Corticosteroids for treating sepsis.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Dec 4.

[PMID: 26633262]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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