◆急性心筋梗塞後の「心臓リハビリテーション」とは?
入院中は、心筋梗塞によりダメージを受けた心臓に徐々に負荷を掛け、全身状態の確認を行いながら活動性の回復を図ります。退院後も、運動療法による体力の回復、食事内容の見直しや禁煙を通じて、再発予防の為に行うことを「心臓リハビリテーション」と言います。
◆11,862人を対象に分析
今回の研究ではアメリカの研究チームが、急性心筋梗塞後の65歳以上の患者11,862人を対象とし、1年間の追跡調査を行い、心臓リハビリテーションの効果を検証しました。
◆心臓リハビリテーションで再発予防
リハビリへの参加回数が5回増える毎に死亡率は減少し(補正ハザード比0.87 95%信頼区間0.83-0.92)、主要有害な心血管イベントの再発率(補正ハザード比0.69 95%信頼区間0.65-0.73)や死亡率あるいは再入院のリスクを軽減(補正ハザード比0.79 95%信頼区間0.76-0.83)した。
心臓リハビリテーションを継続することにより心血管疾患の再発や死亡率は減少するという結果でした。
急性心筋梗塞は病態や重症度によって回復のスピードや程度が異なりますが、今回の研究で確かめられたように、継続することが大切です。近年では、心臓リハビリテーションを実施している施設が増えつつありますが、海外と比較すると国内での普及率はまだまだ低いのが現状だと言われています。今後も益々、心臓リハビリテーションを継続して実施できる施設が増えることを期待します。
執筆者
Effectiveness of cardiac rehabilitation among older patients after acute myocardial infarction.
Am Heart J. 2015 Nov
[PMID: 26542492]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。