心臓リハビリテーションは虚血性心疾患後の死亡率を減少させる

心臓リハビリテーションの有効性は、心疾患に関わるガイドラインのほとんどに記載されています。今回は、心臓リハビリテーションにより虚血性心疾患の予後を改善するという1988年の『JAMA』に掲載された論文を紹介します。
◆心臓リハビリテーションとは
心筋梗塞などの循環器疾患を持つ患者さんを対象に、運動療法や食事療法などを通して、日常生活、社会に復帰する目的で行うリハビリテーションのことです。
◆10のランダム化比較試験を統合し、心臓リハビリテーションの効果を検証
今回の研究では、10のランダム化比較試験から情報を統合し、2,145名の対照群と2,202名のリハビリテーション群の計4,347名を対象に、心臓リハビリテーションの効果を検証しました。
◆心臓リハビリテーションは死亡リスクを減少する
調査の結果、以下のことを報告しました。
プールされたオッズ比は、すべての死因で0.76(95%信頼区間0.63-0.92)、
心血管疾患 が原因の死亡で0.75(95%信頼区間0.62-0.93)であり、コントロール群よりもリハビリテーション群で有意 に低かった。非致死性の心筋梗塞の再発は有意差がなかった。
心臓リハビリテーションは、心血管疾患が原因の死亡、またすべての死因をあわせた死亡全体を減少させるという結果でした。
筆者らは、「これらの結果は、適切に対象を選択すれば、包括的な心臓リハビリテーションは死亡に対して有益な効果を示すが、非致死性の心筋梗塞の再発には効果はないことを示唆する。」と述べています。
1980年代から、心臓リハビリテーションの有用性が検証されていました。具体的な方法については、今後紹介する予定ですのでご期待ください。
執筆者
Cardiac rehabilitation after myocardial infarction. Combined experience of randomized clinical trials.
JAMA. 1988 Aug 19
[PMID: 3398199]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。