2015.12.24 | ニュース

少量のワインが健康にもたらす効果を実証

2型糖尿病がある224人で2年間の研究

from Annals of internal medicine

少量のワインが健康にもたらす効果を実証の写真

少量の飲酒、特にワインが健康に良いとする説はしばしば唱えられますが、実際に長期間の飲酒を治療として行ったときの効果は知られていません。イスラエルで2型糖尿病患者を対象に2年間の研究が行われました。

◆ワインか水かで2年間の効果を比較

この研究では、2型糖尿病があり、開始時点で断酒状態にあった224人が対象になりました。対象者は全員が地中海食という食事療法を受けるとともに、ランダムにグループに分けられ、夕食のときに150mlの赤ワインを飲む群、白ワインを飲む群、ミネラルウォーターを飲む群とされ、2年間の飲酒による違いを調べられました。

 

◆コレステロール、睡眠の質に改善

次の結果が得られました。

ミネラルウォーターの群(地中海食のみ)で見られた変化に加えて、赤ワインはHDLコレステロール値を有意に0.05mmol/l(2.0mg/dl)増加させた(95%信頼区間0.04-0.06mmol/l [1.6-2.2mg/dl]、P<0.001)[...]。

3群の間で、血圧、肥満、肝機能、薬物治療、症状、生活の質に実質的な差は見いだされず、例外として睡眠の質はミネラルウォーター群よりも両方のワイン群で改善した(P=0.040)。

ミネラルウォーターのグループに比べて、赤ワインのグループでHDLコレステロール(善玉コレステロール)の検査値に改善が見られました。また、赤ワインのグループと白ワインのグループで、睡眠の質が改善しました。肝臓の機能などの検査値に大きな違いは見られませんでした。

 

病気を減らすというはっきりした結果には至らないまでも、悪化が見られることもなく、食事療法中であっても1日150mlのワインならおおむね適量の範囲と言えるのかもしれません。ただし、人種など体質によって影響の強さが違う可能性もあり、また2年を超える長期間の影響については未知のままです。

こうした研究が実際に行われることで、健康にも配慮した飲み方がわかってくるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effects of Initiating Moderate Alcohol Intake on Cardiometabolic Risk in Adults With Type 2 Diabetes: A 2-Year Randomized, Controlled Trial.

Ann Intern Med. 2015 Oct 20

[PMID: 26458258]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る