ワインは慢性心不全患者の精神を健康にする?

「ワインは身体にいい」と聞いたことがある人は多いかと思います。健康な人にとって少量の飲酒がよい結果につながるという報告を時折見かけますが、病気を抱えた人にとってワインはどのような効果をもたらすのでしょうか。イタリアで慢性心不全患者を対象に、ワインの消費量と健康との関係を調べる研究が行われました。その結果、ワインを普段から飲んでいる慢性心不全患者にはうつ症状が少なかった、などの関連が報告されました。
◆イタリアの慢性心不全患者6,973人を追跡
研究班は、慢性心不全と診断された患者6,973人を対象として、食習慣に関する聞き取りを行い、その後の健康状態を追跡して、ワインの消費量と健康状態の関連を探しました。
◆ワインを多く飲む人ほどうつ症状が少ない
統計解析の結果、死亡率などにはワインの消費量によって違いがなく、ワインを多く飲む人ほど、以下の傾向が見られました。
- 主観的に健康状態がよいと思っている
- うつ
症状 が少ない - 血管の
炎症 反応を示す血液検査値が低い
研究班はこれらの関連を「慢性心不全のある大きな集団を追跡した結果として示すのは初めて」であると述べています。
ワインを飲んで気持ちよくなれば、うつにもなりにくい…と想像することはできますが、追跡調査の結果なので、ほかの原因が隠れていることはありえます。もともとうつになりにくい人がワインを飲んでいることも多かった、という可能性が考えられるのです。
食事と健康の関係はいろいろな角度から研究されています。ワインの効き目もしだいに明らかになっていくかもしれません。
執筆者
Regular wine consumption in chronic heart failure: impact on outcomes, quality of life, and circulating biomarkers.
Circ Heart Fail. 2015 May
[PMID: 25925415]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。