2015.12.15 | ニュース

心不全予防には推奨以上の運動量が必要?

米国・370,460人のデータを解析

from Circulation

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心不全の予防のために運動習慣を生活に取り入れることが推奨されていますが、具体的にどれくらい運動すればリスクが減るのでしょうか。今回、米国の研究チームが運動量と心不全リスク低減の関連について解析を行いました。

◆370,460人のデータを解析

研究チームは、370,460名のデータを解析しました。運動量については「MET(代謝等価:metabolic equivalent)」という単位ではかります。例えば、安楽に座っている状態を1とした場合、早歩きで3~4、ジョギングで7くらい、というイメージです。このMETの値に運動した時間(分)をかけたものがMET-minと言う単位で、4METの早歩きを30分行なえば、120MET-minくらいになります。

 

◆週に500 MET-minではリスク減はわずか

実際のデータを解析したところ、運動量が多いほど、心不全リスクが低減しているという結果でした。米国2008年のガイドライン推奨のうち最も少ない運動量(週に500 MET-min)ではリスク減はわずかで、リスクをはっきり低下させるためには、ガイドライン推奨レベルより2倍・4倍とかなり上回る運動量が必要であろうことが分かりました。

ガイドライン推奨最小身体活動レベルの2倍の1000 MET-min/週でハザード比は0.81(95%信頼区間0.77から0.86)、および4倍の2000 MET-min/週でハザード比は0.65(95%信頼区間0.58から0.73)の運動量があった人に、はっきりしたリスク低下が見られた。

 

身体活動と心不全リスクの関連については、すでに多くの研究があり、2012年の冠動脈疾患との関係に関するメタ解析では、「とにかく少しでもやるのがよい」と推奨されていました。しかし、今回の結果から見ると、かなりの運動量がなければ効果は小さいということになります。

参考文献

Dose-Response Relationship Between Physical Activity and Risk of Heart Failure: A Meta-Analysis.

Circulation. 2015 Nov

[PMID: 26438781]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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