前触れなく心臓が止まる「ブルガダ症候群」、植え込み装置で急死を防げるか?
ブルガダ症候群は、心臓に一見異常がないにもかかわらず不整脈を起こし、突然死につながります。治療には薬のほか、心臓に電気刺激を与える植込み型除細動器(ICD)が使われます。これまでの研究報告をもとに、薬とICDの効果が比較されました。
◆ICDは薬よりも突然死を防げるか?
ブルガダ症候群の原因は正確にはわかっていませんが、一部は心臓で働くイオンチャンネルという分子の遺伝的な異常によると考えられています。心室細動という不整脈を起こすことで突然死の原因になります。
ICDは、
研究班は、過去の研究のデータベースから、イオンチャンネルの異常がある18歳以上の患者を対象に、ICDの効果を薬または通常のケアと比較したものを集め、結果を吟味しました。
◆ICDのほうが死亡が少ない
条件に合う研究は2件だけ見つかり、そこから次の結果が得られました。
ICD治療に割り付けられたグループでは、内科的治療に割り付けられたグループと比べて9分の1まで死亡率が低かった(内科的治療で18%に対してICDで0%、リスク比0.11、95%信頼区間0.01-0.83、2件の研究、86人の参加者)。
ICDの治療を受けた人では、薬で治療された人に比べて死亡率が9分の1になりました。薬の副作用など、有害な影響がICDと薬でどちらが多いかは確かめられませんでした。
ICDは、ブルガダ症候群以外にもQT延長症候群などで、心室細動による突然死を防ぐために使われます。一見健康なのに隠れた危険を持つ人にとって、安心して生活を送るためにも役に立つかもしれません。
執筆者
Implantable defibrillators versus medical therapy for cardiac channelopathies.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Oct 7
[PMID: 26445202]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。