2015.12.20 | ニュース

長年続くけいれん発作、「乳児重症ミオクロニーてんかん」は薬で治るのか?

文献から調査

from The Cochrane database of systematic reviews

長年続くけいれん発作、「乳児重症ミオクロニーてんかん」は薬で治るのか?の写真

てんかんの一種である乳児重症ミオクロニーてんかんは、治療が難しいことで知られています。治療薬のスチリペントールの効果について、これまでの研究報告をまとめることで検証が行われました。

◆過去の研究から

乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)は、けいれん発作や体の一部が突然動いてしまうミオクロニー発作、手足がガクガクと曲げ伸ばしされる間代発作などを特徴とし、乳児期に始まった発作が長年続きます。

スチリペントールは日本でも2012年に承認された薬で、発作を抑える効果があると言われ、ほかの抗てんかん薬とともに使われます。副作用として眠気やふるえなどが知られています。

研究班は、過去の研究報告を検索し、乳児重症ミオクロニーてんかんに対してスチリペントールまたはその他の抗てんかん薬の効果を調べたものを集めました。

 

◆スチリペントールで発作減少

次の結果が得られました。

スチリペントール以外の薬を評価したRCTは見つからなかった。

スチリペントール群では、偽薬群に比べて発作の頻度が50%以上減少した参加者の割合が有意に高かった(33人中22人 vs 31人中2人、リスク比10.40、95%信頼区間2.64-40.87)。スチリペントール群で、偽薬群に比べて発作ゼロを達成した参加者の割合が有意に高かった(33人中12人 vs 31人中1人、リスク比7.93、95%信頼区間1.52-41.21)。

1件の研究だけが副作用の発生を明示的に報告し、偽薬群に比べてスチリペントール群でより大きい割合の参加者が副作用を経験したとしていた(100% vs 25%、リスク比3.73、95%信頼区間1.81-7.67)。

スチリペントールについて調べた2件の研究が見つかりました。そのデータでは、スチリペントールを使う治療により発作の頻度が少なくなり、33人中12人では発作が完全になくなっていました

副作用は偽薬を使ったときよりも多くの人に見られました。

 

乳児重症ミオクロニーてんかんは治療が非常に難しいことで知られています。より効果が高く安全な治療を目指して、こうした検証が続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Antiepileptic drugs for the treatment of infants with severe myoclonic epilepsy.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Oct 19

[PMID: 26482210]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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