関節リウマチの薬で結核が増える?

関節リウマチの代表的な治療薬であるTNF-α阻害薬は、異常な免疫を抑えることで痛みや腫れの症状を改善しますが、副作用として感染症が起きる可能性があると言われています。これまでに報告された研究結果をもとに、結核との関連が検討されました。
◆5種類のTNF-α阻害薬と結核の関連
関節リウマチの原因は、本来なら結核などの病原体を排除するように働くはずの免疫のしくみが、何らかの異常により自分自身の関節の組織を攻撃してしまうことと言われています。
TNF-α阻害薬という種類の薬であるエタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブなどは、免疫の異常な働きを抑えることで関節リウマチを治療します。その反面、副作用として感染症が起きやすくなるとも言われています。
研究班は、過去の研究論文から、TNF-α阻害薬と結核の関連を調べたものを集め、5種類のTNF-α阻害薬がそれぞれ結核の危険性とどの程度関連するかを調べました。
◆結核は増えるが、予防できる
見つかった63件の研究のうちで、次の結果が得られました。
RCTでは観察期間が短かったため、結核リスクの有意差は見られなかった。RCT以外では、TNF-α阻害薬は関節リウマチの患者において結核のより高いリスクと関連し(リスク比4.03、95%信頼区間2.36-6.88)、エタネルセプト群に比べて結核の発症率はインフリキシマブ群で2.78倍、アダリムマブ群で3.88倍高かった。さらに、潜在結核感染症に対する予防的治療によって結核のリスクが65%減少する(リスク比0.35、95%信頼区間0.15-0.82)ことが示された。
薬を使うかどうかをランダムに振り分けるタイプの研究では、結核が増えているというデータは見られませんでしたが、ほかの研究では、TNF-α阻害薬を使って治療された人で結核が多くなっていました。
そのうちでも、エタネルセプトよりもインフリキシマブで2.78倍、アダリムマブでは3.88倍、特に結核が多いと見られました。
また、結核が確定診断される前から予防的治療を開始することで、結核の発症頻度を3分の1近くまで抑えられると見られました。
研究班は「この研究は[...]関節リウマチの患者において潜在結核感染症の予防が必要である可能性を提起する」と述べています。
関節リウマチは日常生活の妨げになるだけでなく、死因につながる可能性もあります。同時に、結核も死因になりうる重要な問題です。治療によって起こりうる危険性に十分注意して対策するため、こうした副作用の研究が重ねられています。
執筆者
The Risk of Tuberculosis in Patients with Rheumatoid Arthritis Treated with Tumor Necrosis Factor-α Antagonist: A Metaanalysis of Both Randomized Controlled Trials and Registry/Cohort Studies.
J Rheumatol. 2015 Oct 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26472414]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。