抗がん剤の副作用を脂肪酸で軽減

白血病治療薬の1つである抗がん剤メトトレキサートは、治療効果の一方で肝障害の副作用も有名です。補助治療として、青魚などに多く含まれる脂肪酸の1種、ω(オメガ)-3脂肪酸による抗がん剤の副作用に対する効果が検証されました。
◆白血病患者70人の肝機能を調査
この研究は、急性リンパ性白血病患者70人を調査対象としました。対象者を、ランダムに以下の2つのグループに分け、それぞれの治療を受けてもらいました。
- Aグループ:メトトレキサートとω-3脂肪酸を使用
- Bグループ:メトトレキサートと効果のない薬(プラセボ)を使用
治療前と、治療6ヶ月後の肝臓の状態を、血液検査により測定することで、ω-3脂肪酸による影響を確かめました。
◆ω-3脂肪酸はメトトレキサートによる肝障害を防ぐ
検証の結果、以下のことが分かりました。
6ヶ月後、ベースラインやω-3脂肪酸を摂っていたAグループのALL患者と比較して、Bグループ(メトトレキサート+プラセボ)では肝臓の酵素 とマロンジアルデヒドは増加し、一方で抗酸化能、尿酸、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼは減少した(P<0.001)。
つまりこの研究から、ω-3脂肪酸は、
さらに研究チームは「ω-3脂肪酸による副作用は報告されていない」と言及しています。
抗がん剤の種類によって見られる副作用は異なるため、全ての抗がん剤の副作用に対してω-3脂肪酸が効果を示すかどうかは分かっていませんが、より安全な
執筆者
ω-3 fatty acids as an adjuvant therapy ameliorates methotrexate-induced hepatotoxicity in children and adolescents with acute lymphoblastic leukemia: A randomized placebo-controlled study.
Nutrition. 2015 Jul 17 [Epub ahead of print]
[PMID: 26421385]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。