2015.11.18 | ニュース

どんな抗生物質も効かない細菌が感染、角膜は保存不能に

インド15件の治療例
from Graefe's archive for clinical and experimental ophthalmology = Albrecht von Graefes Archiv fur klinische und experimentelle Ophthalmologie
どんな抗生物質も効かない細菌が感染、角膜は保存不能にの写真
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抗菌薬(抗生物質)は細菌の感染を治療しますが、不適切な使い方により、細菌に耐性ができ、特定の抗菌薬が効かなくなってしまうことがあります。インドの研究班から、多くの種類の抗菌薬に耐性をつけた細菌による角膜炎の例が報告されました。

◆多剤耐性緑膿菌とは

研究班は、きわめて多くの種類の抗菌薬耐性を持つ多剤耐性緑膿菌による角膜炎15件(同じ人の両眼に起こった場合は延べ2件と数える)を報告しています。

緑膿菌は普通の環境に住み着いている細菌で、健康な人に感染して病気を起こすことは少ないですが、免疫を抑える治療を受けている人などでは問題になります。また、抗菌薬に耐性ができやすいことでも知られています。耐性菌の治療には、耐性がない種類の抗菌薬が使われますが、多くの種類の抗菌薬に耐性がある細菌に対しては、選択肢が少なくなってしまいます。

 

◆7件で治療失敗

15件の概要は次のようなものでした。

13人の患者の15の眼を対象とした。患者のうち7人(53.8%)が男性であり、9件(60%)が左眼の病変だった。

15件の単離病原体のうち、6件(40%)がイミペネムにのみ感受性であり、3件(20%)はコリスチン、2件(13.3%)はネオマイシン、1件(6.7%)がイミペネムとコリスチン、1件がイミペネムとセフタジジム、1件がアジスロマイシンに感受性だった。1件はすべての抗菌薬に耐性だった。完全な治療成功は2件(16.67%)、部分的な治療成功は3件(25%)、治療失敗は7件(58.33%)で起こった。5件(33.3%)の眼はイミペネム(3件)、アジスロマイシン(1件)、イミペネムとコリスチン(1件)で治癒した。

角膜炎を起こした緑膿菌は、15件のうち12件では抗菌薬のうち1種類しか効かないものでした。1件では、すべての抗菌薬に対して耐性がありました。治療に失敗し、角膜移植などが必要な状態に陥った例が7件ありました

 

抗菌薬を処方する医師は必要なときにだけ、適切な種類のものを選んで使うべきであり、薬を受け取った患者は必ず処方された分を残さず飲み切ること、他人に飲ませないことが必要と言われています。

新しい種類の抗菌薬が作られても、使い方が適切でなければ、次々に耐性菌が現れ、急速に広がっていきます。打つ手がない事態を防ぐために、抗菌薬の適切な使用が重要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Extensively and pan-drug resistant Pseudomonas aeruginosa keratitis: clinical features, risk factors, and outcome.

Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2015 Nov 4. [Epub ahead of print]

[PMID: 26537122]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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