抗生物質が効かない、多剤耐性緑膿菌による角膜炎が多かった要因とは?
角膜炎の原因のひとつが緑膿菌の感染です。治療には抗菌薬が使われますが、特定の抗菌薬に耐性がある緑膿菌には使える薬が限られます。インドの研究班が、多剤耐性緑膿菌角膜炎は眼の軟膏や保護レンズを使っていたときに多かったことを報告しました。
◆多剤耐性緑膿菌と薬剤感受性緑膿菌の比較
研究班は、対象とした1施設で診断された
◆潤滑軟膏、保護レンズと関連
次の結果が得られました。
23例の多剤耐性緑膿菌角膜炎(症例)と、67例の薬剤感受性緑膿菌角膜炎(対照)が同定された。多変量解析で、潤滑軟膏の使用、眼球表面の
免疫 抑制、保護コンタクトレンズの使用が多剤耐性緑膿菌角膜炎と関連していた。角膜
穿孔 は対照(11.94%、67例中8例)よりも症例(52.17%、23例中12例、P=0.0001)で多かった。
多剤耐性緑膿菌による角膜炎は、何らかの病気の治療として、角膜を保護する潤滑軟膏や保護用コンタクトレンズを使っていたとき、また免疫が弱くなっていたときに多くなっていました。多剤耐性緑膿菌による角膜炎では、薬剤感受性緑膿菌による角膜炎に比べて、角膜に穴が開くなどより重症の場合が多くなっていました。
研究班はこの結果をふまえ、「防腐剤の入っていない潤滑軟膏は感染源または感染の温床として働くかもしれない」と述べています。
多剤耐性緑膿菌が発生する原因には、
こうした場合には、治療を長引かせないため抗菌薬の使い方に注意が必要なのかもしれません。
執筆者
Multidrug-Resistant Pseudomonas aeruginosa Keratitis: Risk Factors, Clinical Characteristics, and Outcomes.
Ophthalmology. 2015 Jul 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26189185]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。