養豚場での抗菌薬を減らすと耐性菌(MRSA)が減った!
抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌がさまざまな場面で問題になっています。セファロスポリン系抗菌薬が効かなくなったMRSAは代表的な耐性菌です。耐性菌は抗菌薬の不適切な使用によって生まれると考えられ、家畜に感染予防の狙いで与えられる抗菌薬が問題視されてきました。オランダの養豚場で行われた追跡調査から、抗菌薬の使用量が減るにともなってMRSAの頻度が減る相関があったことが報告されました。
◆オランダの2011年から2013年の状況
研究班は次のように調査を行いました。
2011年から2013年にかけて、家畜関連MRSAの蔓延抑制を目的とした18か月の縦断研究が、オランダの36か所の養豚場で行われた。
2011年から2013年の間の18か月の間、36か所の養豚場で、
◆抗菌薬が減るとMRSAも減った
調査から次の結果が得られました。
6か月ごとの評価によって、豚にMRSAが見つかる頻度はわずかに減少し、豚農家とその家族にMRSAが見つかる頻度は安定していたことが示された。抗菌薬の使用量を、豚1頭あたりに日々与えられる抗菌薬の年間使用量によって表すと、研究期間に44%の減少が見られ、豚にMRSAが見つかる頻度の減少と関連していた。豚のMRSA感染率はセファロスポリン系抗菌薬を使っていた養豚場で
有意 に高かった。
調査期間のうちに、豚からMRSAが見つかる頻度は減少していました。抗菌薬の使用量は全体として44%減少していました。抗菌薬の使用量減少とMRSAの減少は関連していました。豚にセファロスポリン系抗菌薬を使っていた養豚場では、豚からMRSAが見つかる頻度が高くなっていました。
執筆者
Dose-response relationship between antimicrobial drugs and livestock-associated MRSA in pig farming.
Emerg Infect Dis. 2015 Jun
[PMID: 25989456]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。