◆脳卒中による死亡率と睡眠時間の関連性を検証
今回の研究では、日本で行われた調査研究に参加した35歳以上の男女27,896人を対象に、脳卒中による死亡率と睡眠時間の関連性を検証しました。
脳卒中は、虚血性脳卒中(脳梗塞)、出血性脳卒中(脳出血・くも膜下出血)、それらを含む全脳卒中に分類して分析しました。
◆睡眠時間が短いと脳出血による死亡リスクは減少
以下の結果が得られました。
共変量による調整後、7時間の睡眠と比較すると、9時間以上の睡眠では、全脳卒中と虚血性脳卒中による死亡率の増加と有意に関連していた。
7時間の睡眠と比べて、6時間以下の睡眠では、出血性脳卒中による死亡リスクは有意に減少した(ハザード比0.64、95%信頼区間0.42-0.98、pトレンド=0.08)。
睡眠時間が6時間以下であると出血性脳卒中による死亡のリスクは減少し、9時間以上であるとすべての脳卒中および脳梗塞による死亡のリスクが増加するという結果でした。
以前に紹介した研究では、8時間以上の睡眠で脳卒中の発症が多いという結果でした。睡眠時間が長い人で脳卒中が多いという共通点がありますが、そのメカニズムは不明です。しかし、睡眠と脳卒中の原因に何かしらの関連性があるとしたら、このような研究をもとに、脳卒中の発症原因の研究が進むかもしれません。
執筆者
Sleep Duration and the Risk of Mortality From Stroke in Japan: The Takayama Cohort Study.
J Epidemiol. 2015 Oct 31
[PMID: 26521720]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。