帝王切開をしても子どもは1型糖尿病にならないのか?
帝王切開で生まれた子どもに1型糖尿病が多いとした報告がありますが、それだけで帝王切開が原因とは言えません。スウェーデンのデータをもとに、帝王切開と子どもの1型糖尿病の関連について解析した結果が報告されました。
◆スウェーデンの子どものデータから
研究班は、スウェーデンで1型糖尿病と診断された子ども9,376人の情報を使い、1型糖尿病ではない子どもと比較して、帝王切開で生まれたかどうかとの関連を調べました。
◆母親の糖尿病と強い関連
次の結果が得られました。
全体で、出産の13.5%が帝王切開によるものだった。グループごとに見ると、対照群の13.3%に比べて、1型糖尿病が
発症 した子どものうち14.7%が帝王切開により出産されていた(P<0.001)。 糖尿病のある母親は、糖尿病のない母親に比べて、帝王切開で出産することが多かった(78.8% vs 12.7%、P<0.001)。母親の年齢、糖尿病、妊娠初期のBMI で調整したロジスティック回帰モデルでは、帝王切開のオッズ比は1.0だった。母親の糖尿病が小児期の糖尿病の最も強い予測因子であり(オッズ比3.4)、特に母親に1型糖尿病があるときに強い関連が見られた(オッズ比7.54)。
母親に糖尿病がある場合、帝王切開で出産することが多くなっていました。また、母親に糖尿病がある場合、特に母親に1型糖尿病がある場合に、子どもの糖尿病が多くなっていました。
母親の糖尿病など、関係する要因を調整して計算すると、帝王切開で生まれたかどうかと、子どもに1型糖尿病が発症するかどうかに関連は見られませんでした。
糖尿病がある女性が妊娠すると、胎児が大きくなりすぎて帝王切開が必要になる場合があります。このような背景の違いがなければ、帝王切開そのものが子どもの1型糖尿病の原因にはならないのかもしれません。
執筆者
Caesarean section per se does not increase the risk of offspring developing type 1 diabetes: a Swedish population-based study.
Diabetologia. 2015 Nov
[PMID: 26298452]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。