2015.11.02 | ニュース

飲酒は乳がんに関係するのか?注意するべき年齢は?

ヨーロッパの女性33万人を11年追跡

from International journal of cancer. Journal international du cancer

飲酒は乳がんに関係するのか?注意するべき年齢は?の写真

飲酒によって、いくつかの種類のがんが発生しやすくなると考えられています。飲酒と乳がんの関係について、乳がんの分類と飲酒に関係する要因について、ヨーロッパの追跡調査データから解析が行われました。

◆33万人の女性の追跡データから

研究班は、ヨーロッパで行われた追跡調査のデータを使い、35歳から70歳の女性334,850人をおよそ11年にわたって追跡した間について、飲酒習慣と乳がんの発症に関連があるか、統計解析によって調べました。

 

◆多く飲むほど乳がん増加

次の結果が得られました。

3,670,439人年の間に、11,576件の乳がん新規発症が診断された。アルコール摂取量は乳がんリスクと有意に関連し、アルコール摂取量が1日あたり10g増加するごとにハザード比が4.2%増加した(95%信頼区間2.7-5.8%)。1日あたりの摂取量が0-5gを参照すると、1日あたり5-15gのアルコール摂取は乳がんのリスクの5.9%増加と関連した(95%信頼区間1-11%)。

アルコール摂取量が多いほど乳がんの発症が多く、1日あたり10gのアルコール摂取(ビール250ml程度)が増えるごとに乳がんが4%程度増えるという結果でした。最初の正期妊娠が始まる前に飲酒を始めた人で、特に乳がんが多く見られました。

がん細胞が持っている遺伝子に注目した分類では、ER+/PR+、ER-/PR-、HER2-、ER-/PR-HER2-の各分類について、アルコール摂取量にともなって増加が見られました。

 

飲酒は乳がんだけでなく、ほかの種類のがんや高血圧などとも関係し、少量なら有益な面もあると考えられています。生活習慣と病気のリスクを全体として考える中で、飲酒と乳がんの関係もひとつの要素になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Alcohol intake and breast cancer in the European prospective investigation into cancer and nutrition.

Int J Cancer. 2015 Oct 15

[PMID: 25677034]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る