脳卒中が発症しやすい季節は本当に夏か冬?

脳卒中は、どの季節に起こりやすいかご存じでしょうか。これがわかれば、予防対策に役立つかもしれません。今回の研究では、脳卒中を脳梗塞、脳出血などのタイプ別に、その傾向を調査しました。
◆脳卒中のタイプ別にどの季節に起こりやすいか検証
脳梗塞は夏に多く、脳出血は冬に多いという報告が過去にありました。
今回の研究は、1999年から2009年までの京都の脳卒中データベースに登録されている13,788人を分析しました。 脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分類し、それぞれ季節によって違いがあるか調査しました。
◆脳梗塞は秋に少なく、脳出血は夏に少ない
以下の結果が得られました。
秋の脳梗塞の発生率は、夏よりも低かった(オッズ比0.93、95%信頼区間0.87-0.98、p=0.013)。
脳出血の発生率は夏と比べて、春(オッズ比1.36、95%信頼区間1.23-1.49、p<0.001)、秋(オッズ比1.16、95%信頼区間1.05-1.28、p=0.004)、冬(オッズ比1.37、95%信頼区間1.25-1.51、p<0.001)で高かった。
くも膜下出血の発生率は夏と比べて、春(オッズ比1.51、95%信頼区間1.28-1.79、p<0.001)、冬(オッズ比1.44、95%信頼区間1.22-1.70、p<0.001)で高かった。
脳卒中を発症する危険性は、夏と比べると、脳梗塞は秋で低く、脳出血は春、秋、冬で高く、くも膜下出血は春、冬で高いという結果でした。
脳卒中のそれぞれのタイプで発生する危険性がある季節は異なりました。しかし、程度の違いがあってもすべての季節で脳卒中の危険性はあり、季節による違いはあくまで参考として、生活習慣など普段から気をつけられるものを考えた方が良いかもしれません。
執筆者
Higher ratio of ischemic stroke to hemorrhagic stroke in summer.
Acta Neurol Scand. 2015 Dec
[PMID: 25855396]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。