◆通常の薬治療にスピロノラクトンを加えた場合の効果を検証
高血圧の薬治療では、ACE阻害薬、ARB、α1遮断薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬といった、血圧を下げる薬が用いられます。この研究は、これらのうち複数を使っても血圧が一定水準より高い人に対して、利尿薬の中でもK保持性利尿薬と呼ばれる種類のスピロノラクトンという薬を使うことで、ほかの薬よりも血圧を下げる効果が大きいかどうかを調べました。
18歳から79歳の高血圧症患者で、ACE阻害薬またはARB、カルシウム拮抗薬、利尿薬の3種類を最大量使って3ヶ月以上治療しても、目標血圧まで改善しなかった人を対象としました。
対象者は、3種類の薬に加えて、次の4種類の薬のうちどれかひとつずつをランダムな順番で12週間ずつ使って治療を受けました。
- スピロノラクトン(K保持性利尿薬)
- ビソプロロール(β遮断薬)
- ドキサゾシン(α1遮断薬)
- プラセボ
◆スピロノラクトンを加えると、血圧改善
以下の結果が得られました。
スピロノラクトンによる家庭で測定した収縮期血圧の平均減少量はプラセボ(-8.70mmHg、95%信頼区間-9.72から-7.69、p<0.0001)、その他の2つの薬治療を行っていたときの平均値(ドキサゾシンとビソプロロールで-4.26mmHg、95%信頼区間-5.13から-3.38、p<0.0001)、個々の治療としてドキサゾシン(-4.03mmHg、95%信頼区間-5.04から-3.02、p<0.0001)、ビソプロロール(-4.48、95%信頼区間-5.50から-3.46、p<0.0001)よりも優っていた。
難治性高血圧症に対して、通常の高血圧治療薬に加えて、スピロノラクトンを加えると、ドキサゾシンまたはビソプロロールを使ったときよりも血圧が大きく下がるという結果でした。
様々な疾患の原因となる高血圧ですが、もともとの血圧が非常に高い場合など、通常の治療で効果が十分に得られないときは複雑な治療が必要になります。今回の研究結果は、高血圧の治療に手こずっている方には明るい兆しとなるかもしれません。
執筆者
Spironolactone versus placebo, bisoprolol, and doxazosin to determine the optimal treatment for drug-resistant hypertension (PATHWAY-2): a randomised, double-blind, crossover trial.
Lancet. 2015 Sep 18
[PMID: 26414968]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。