心房細動を予防、心臓の手術の後のランジオロール

不整脈の一種の心房細動は、それ自体が心停止の原因になることはまれですが、心臓の中に血の塊ができることで脳梗塞の原因になります。心臓の手術のあとにランジオロールという薬を使うことにより、心房細動を予防する研究が行われました。
◆手術後の患者60人が対象
ランジオロールはβ遮断薬という種類の薬で、血圧を下げ、心拍数を抑える作用があります。β遮断薬は、心拍数を抑える作用から、不整脈の治療にも使われることがあります。心臓の手術の後は心房細動が起こりやすいと言われていますが、この研究では、手術のあとにランジオロールを使うことにより、心房細動を予防できるかどうかを調べました。
心臓の手術を受けたあと、心臓が血液を全身に送り出す力が弱くなっている人60人が対象となりました。対象者はランダムに、ランジオロールを使って治療される群と、ランジオロールを使わないで治療される群に分けられ、手術後1週間以内に心房細動が起こるかどうかを調べられました。
◆ランジオロールで心房細動減少
次の結果が得られました。
心房細動はランジオロール群の患者3人(10%)に対して対照群の12人(40%)に起こり、頻度はランジオロール群のほうが
有意 に低かった(P=0.002)。どちらの群でも、静脈内点滴が低血圧または
徐脈 により中止されることはなかった。
ランジオロールを使った群のほうが、心房細動の
脳梗塞の予防は大きな課題です。ランジオロールが脳梗塞の予防に結び付くかどうか、またほかのβ遮断薬との違いなどについてさらに確かな情報が得られれば、治療の役に立つかもしれません。
執筆者
Safety and efficacy of landiolol hydrochloride for prevention of atrial fibrillation after cardiac surgery in patients with left ventricular dysfunction: Prevention of Atrial Fibrillation After Cardiac Surgery With Landiolol Hydrochloride for Left Ventricular Dysfunction (PLATON) trial.
J Thorac Cardiovasc Surg. 2015 Jul 10 [Epub ahead of print]
[PMID: 26254752]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。