◆ダビガトラン群とワルファリン群にランダムに分類
血を固まりにくくする薬として、ダビガトランとワルファリンが知られています。ワルファリンは納豆などビタミンKを豊富に含む食材の摂取制限が必要な一方で、ダビガトランは食事制限が不要です。血を固まりにくくするということは、逆に出血が増える可能性も高いため、それらのバランスを考えて使用されます。
今回の研究は以下の方法で行われました。
RE-LY試験で、44ヵ国、967施設から選ばれた18,113名の患者がランダムに、ダビガトラン110mgを1日2回投薬する群、ダビガトラン150mgを1日2回投薬する群、プロトロンビン時間国際標準化比2.0-3.0に調整した用量のワルファリンを投薬する群の3群に振り分けた。
対象者をダビガトランを使って治療する群とワルファリンで治療する群に振り分け、脳卒中などに対する予防効果を検証しました。
◆ダビガトランはワルファリンと同等の予防効果であるが、副作用が少ない
以下のことを報告しました。
脳卒中または全身性塞栓症は、110mgのダビガトラン群では55名(年2.32%)(相対リスク0.84、95%信頼区間0.58-1.20)、150mgのダビガトラン群では51名(年2.07%)(相対リスク0.75、95%信頼区間0.52-1.08)と比較して、ワルファリン群では65名の患者(年2.78%)に発症していた。 大出血の割合は、ワルファリン群と比べて、110mgのダビガトラン群の患者で有意に低く(相対リスク0.66、95%信頼区間0.48-0.90)、150mgのダビガトラン群の患者とは類似していた(相対リスク1.01、95%信頼区間0.77-1.34)。
脳卒中や一過性脳虚血発作が起こったことがある人について、脳卒中などの発症率は、ダビガトランとワルファリンで同等の予防効果でしたが、出血はワルファリンよりも適量のダビガトランの方が少ないという結果でした。
『脳卒中診療ガイドライン2015』には、「頭蓋内出血を含め重篤な出血合併症は、ワルファリンに比較して、ダビガトラン、[...]、で明らかに少ないので、これらの薬剤の選択をまず考慮するよう勧められる」と記載されています。
執筆者
Dabigatran compared with warfarin in patients with atrial fibrillation and previous transient ischaemic attack or stroke: a subgroup analysis of the RE-LY trial.
Lancet Neurol. 2010 Dec
[PMID: 21059484]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。