◆過去の論文から腹部エコーの有用性を検証
今回の研究は、過去の研究のなかから、脂肪肝に対する腹部エコーの診断能力について検証した49論文を選び、まとめました。
◆腹部エコーは確定診断、除外診断ともに有効な検査
調査の結果、以下のことを報告しました。
中等度の重症度である脂肪肝の検出に対する腹部エコーの全体としての感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比は、組織学診断(ゴールドスタンダード)と比較して、それぞれ84.8%(95%信頼区間79.5-88.9)、93.6%(87.2-97.0)、13.3(6.4-27.6)、0.16(0.12-0.22)であった。
中等度脂肪肝の診断に対する腹部エコーは、脂肪肝がないときの93.6%を正しく脂肪肝ではないと判断し、脂肪肝があるときの84.8%を正しく脂肪肝であると判断できる、有効な検査法であるという結果でした。
筆者らは、「腹部エコーは、組織学診断と比較して、中等度の重症度である脂肪肝の検出について信頼でき正確である。腹部エコーは、低いコスト、安全性、使いやすさから、臨床および全人口に対しても、脂肪肝に対するスクリーニング検査として選択の余地がある画像技術となるかもしれない。」と結論付けています。
『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』には、「腹部エコーは、中等度以上の脂肪沈着の有無に対して高い診断能を持ち、非アルコール性脂肪肝疾患の診断に有用である。」と記載されています。この背景には、検査方法の過去の論文をまとめて、どのような傾向があるかという全体像を確認する必要性があり、今回紹介した論文はその点で材料のひとつとされているものです。
執筆者
Diagnostic accuracy and reliability of ultrasonography for the detection of fatty liver: a meta-analysis.
Hepatology. 2011 Sep 2
[PMID: 21618575]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。