2015.08.15 | ニュース

脂肪肝と関係する遺伝子、PNPLA3

京都大学の研究チームが253名の脂肪肝患者を分析

from BMC medical genetics

脂肪肝と関係する遺伝子、PNPLA3 の写真

脂肪肝に特有の遺伝的因子があるのはご存知でしょうか?『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』には、その存在が明記されています。その遺伝子PNPLA3について、日本人を対象に検証した2010年の論文を紹介します。

◆非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と対照群の遺伝タイプを比較

今回の調査は、以下の方法で行われました。

253名のNAFLD患者(189名の非アルコール性脂肪性肝炎[NASH]と64名の単純脂肪変性)と578名の対照群に対し、Taqman Assayを用いてrs738409型のSNPを同定した。

NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)患者とNAFLDがない人の遺伝子を比較して、NAFLDに関係すると見込まれた「PNPLA3」遺伝子の特定の型が見つかる頻度に違いがあるかを調べました。

 

◆PNPLA3の変異がNAFLDの発症に関連

調査の結果、以下のことを報告しました。

rs738409のリスクとなる対立遺伝子(G対立遺伝子)の頻度は、対照群で0.44、NAFLD患者で0.60であった。この頻度は、NAFLDと強く関連していた(加法モデル、p=9.4×10-10)。

年齢、性別、BMIで調整したオッズ比(95%信頼区間)は1.73(1.25-2.38)であった。

NAFLDの患者には、PNPLA3遺伝子にある特定の変異がある頻度が大きくなっていました。

 

今回と類似した海外の研究では、PNPLA3以外にも関連する変異について、様々な報告がされています。一方、日本ではPNPL3以外に関係する遺伝子は見つかっていません。『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』では、「これらの臨床的有用性については更なる検討が必要である」と記載されています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Association of the rs738409 polymorphism in PNPLA3 with liver damage and the development of nonalcoholic fatty liver disease.

BMC Med Genet. 2010 Dec 22

[PMID: 21176169]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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