2015.08.10 | ニュース

B型肝炎では肝細胞がんが年率2.5%で発症するが、ラミブジンを使用すると0.4%に減少する

30施設、2,795名の日本人を分析
from Hepatology research : the official journal of the Japan Society of Hepatology
B型肝炎では肝細胞がんが年率2.5%で発症するが、ラミブジンを使用すると0.4%に減少する の写真
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肝硬変診療ガイドラインでは、ラミブジンの治療により、B型肝硬変後の肝細胞がんの発生を抑制できる可能性があるとしています。今回は、その判断の元となる2005年の論文を紹介します。

◆ラミブジンの治療を受けた患者と受けていない患者を比較

今回の研究では、2,795名の慢性B型肝炎患者を対象に、ラミブジンの治療を受けた657名と受けていない2,138名に分け、ラミブジンが肝細胞がん発症に関連するかを調べました。さらに、それぞれの群から377名を抽出し、肝細胞がんの年間発症率との関連を検証しました。

 

◆ラミブジン治療の有無は肝細胞がんの年間発症率と関連

調査の結果、以下のことを報告しました。

ラミブジンを使用したグループでは、肝細胞がんは年間発症率は0.4%であり4名(1.1%)が発症した。一方、コントロールグループでは、年間発症率は2.5%であり50名(13.3%)が発症した。

カプランマイヤー法により2グループの肝細胞がんの累積発症率を比較したところ、肝細胞がんの発症率はラミブジンを使用したグループで有意に低かった(p<0.001)。

ラミブジン治療を行わない場合、肝細胞がんの年間発症率は2.5%でしたが、ラミブジンにより0.4%に減少するという結果でした。

筆者らは、「この知見は、ラミブジンは効果的に慢性B型肝炎患者の肝細胞がん発症を減らすことを示している。」と述べています。

 

肝硬変診療ガイドラインでは、ラミブジンの治療に関して推奨グレードC1、すなわち「(明確な根拠はないが臨床の視点から)治療を行うほうがよい」という位置付けを与えています。

その理由として、「[...]ラミブジンの有用性に関するエビデンスはかなりあるが、薬物抵抗性が生じやすく、これを放置すると重篤な肝不全を招く可能性があることから、現在第一選択薬物となっていないことをふまえ、推奨度についてすべてC1とした。」とガイドラインに記載されています。

ラミブジンはB型肝炎ウイルスの増殖を抑える薬ですが、ウイルスが変化して薬が十分に効かない薬物抵抗性を示すことがあります。B型肝硬変の治療に使われる薬としてラミブジンのほかにアデホビル、エンテカビルがあり、現在の第一選択薬は、エンテカビルとなっています。エンテカビルについての研究もほかに紹介する予定です。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Efficacy of lamivudine for preventing hepatocellular carcinoma in chronic hepatitis B: A multicenter retrospective study of 2795 patients.

Hepatol Res. 2005 Jul

[PMID: 16024289]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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