C型肝炎に対するグリチルリチン製剤による治療で肝細胞がんの発症率が減少

C型肝硬変は肝臓がんへ進行する可能性が大きいとされています。慢性肝炎・肝硬変の診療ガイドでは、C型肝硬変に対する発がん抑制を目的とした抗炎症療法として、グリチルリチン製剤が挙げられています。その根拠となる1997年の論文を紹介します。
◆グリチルリチン製剤の長期的効果を検証
今回の研究では、C型肝炎患者を対象に、グリチルリチン製剤である強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)を使用した群(A群)とSNMCや
◆肝細胞がんの発症リスクは、グリチルリチン製剤を使用していない群が2.49倍
調査の結果、以下のことを報告しました。
10年間の肝細胞がんの累積発生率は、A群で7%、B群で12%であった。15年間ではA群で12%、B群では25%であった。
Cox回帰分析によって、SNMCの治療を受けていない患者(B群)の肝細胞がん発症の相対リスクは、SNMCの治療を受けた患者(A群)と比較して2.49であった。
A群、B群のそれぞれで10年前後の長期にわたる治療が行われ、グリチルリチン製剤の治療を受けていないB群では肝細胞がんの発症リスクがA群の約2.5倍という結果でした。
筆者らは、「本研究では、慢性C型肝炎に対するSNMCの長期的治療は肝臓がん発生の予防に効果的であった」と述べています。
肝炎から肝細胞がんに進行することを防ぐための薬は、
執筆者
The long term efficacy of glycyrrhizin in chronic hepatitis C patients.
Cancer. 1997 Apr 15
[PMID: 9118029]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。