2015.08.02 | ニュース

肝硬変になっていなくても、肝臓がんはできる!リスクが大きかった人は?

アメリカ1,500人の観察研究

from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association

肝硬変になっていなくても、肝臓がんはできる!リスクが大きかった人は?の写真

肝細胞がんの経過として、ウイルス性肝炎などがしだいに進んで肝硬変に至り、そこからがんができるのが典型的ですが、当てはまらない例も多くあります。アメリカで肝細胞がんがある人を調べたところ、13%では肝硬変がないと見られました。

◆肝細胞がんがある人1,500人のデータから

肝細胞がんは肝臓にできるがんの代表的なもので、ウイルス性肝炎、アルコール性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎などが主な原因と言われています。

研究班はアメリカの調査データから、肝細胞がんの患者1,500人の情報を取り出し、肝硬変やほかの健康状態について集計しました。

 

◆メタボ、非アルコール性脂肪肝炎では肝硬変がなくても肝細胞がんが多い

次の結果が得られました。

肝細胞がんの患者1,500人のうち、計43人(2.9%)に、肝硬変がないレベル1の所見があり、151人(10.1%)には肝硬変がないレベル2の所見があった。残りの1,203人(80.1%)には肝硬変が確かめられた。肝硬変がある肝細胞がん患者に比べて、肝硬変の所見がない肝細胞がん患者では、メタボリックシンドロームがある、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がある、またはリスク因子が同定されない割合がより大きかった。

肝硬変がない人が、肝細胞がん患者のうちおよそ13%と見られました。特にメタボリックシンドロームまたは非アルコール性脂肪性肝疾患がある人は、肝硬変がなくても肝細胞がんがある割合が大きくなっていました。

 

肝硬変は肝細胞がんが非常に発症しやすい状態と言われ、肝障害がある人の治療では肝硬変を防ぐことがひとつの目標にされますが、比較的軽度の肝障害でも肝細胞がんが発症することはあります。メタボリックシンドロームや非アルコール性脂肪性肝疾患の人で特にそうした場合が多かったという結果は、ほかの地域にも正確に当てはまるとは限りませんが、参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Hepatocellular Carcinoma in the Absence of Cirrhosis in US Veterans is Associated with Non-Alcoholic Fatty Liver Disease.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Jul 18 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26196445]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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