尿酸値が9mg/dL以上で痛風は50倍になった
尿酸値が高いほど痛風を発症しやすいと言われています。その根拠のひとつとして、1987年に出版されて以来、今でも参照される論文を紹介します。アメリカで健康な男性を長期間追跡した結果、尿酸値が高いグループほど痛風の発症が多く見られました。
◆アメリカの健康男性が対象
研究班は次の対象者から情報を得ました。
Normative Aging Studyにおいて、開始時に健康だった男性2,046人を14.9年追跡し、その間続けて尿酸レベルの計測と試験を行った。
アメリカで行われた大規模追跡研究の参加者のうち、男性2千人あまりを約15年にわたって追跡し、尿酸値と痛風の
◆尿酸7mg/dLで5倍、9mg/dLで50倍
次の結果が得られました。
先行する血漿尿酸レベルが9mg/dL以上の参加者で、痛風関節炎の年間発症率は4.9%であり、尿酸が7.0mg/dLから8.9mg/dLでは0.5%、7.0mg/dL未満では0.1%だった。
尿酸値に対して、1年間に痛風による関節炎を発症した率は次のとおりでした。
- 尿酸7.0mg/dL未満:0.1%
- 尿酸7.0mg/dL以上8.9mg/dL以下:0.5%
- 尿酸9mg/dL以上:4.9%
この結果から、尿酸値が高い人ほど痛風による関節炎を発症しやすいことが示唆されました。検査で尿酸値が高いと言われたときは、気を付けたほうがいいのかもしれません。
ただし、この結果だけで、高尿酸血症では尿酸値を下げる治療をするべきだと結論することはできません。尿酸値が高い人が治療をすると痛風関節炎が少なくなるかどうかは、治療をした場合としなかった場合の比較がなければわかりません。
では、尿酸値を下げるべきなのはどんなときでしょうか。治療の意義を検討した研究をほかに紹介する予定ですのでご期待ください。
執筆者
Asymptomatic hyperuricemia. Risks and consequences in the Normative Aging Study.
Am J Med. 1987 Mar
[PMID: 3826098]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。