2015.07.10 | ニュース

C型肝炎ウイルス1型の駆除率「100%」、レジパスビル+ソホスブビルの治療効果

日本で341人の第3相ランダム化試験

from The Lancet. Infectious diseases

C型肝炎ウイルス1型の駆除率「100%」、レジパスビル+ソホスブビルの治療効果の写真

肝細胞がんの発症につながるC型肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされます。治療には従来インターフェロンなどの薬剤が使われてきましたが、ウイルスの種類によっては効きにくい場合もあり、最近多くの新薬が開発されています。中でも2015年7月に日本で承認されたレジパスビルは、試験段階で治療したあるグループに対して、全員のウイルス駆除に成功したという実績があります。その試験の報告を紹介します。

◆ソホスブビルと併用、リバビリン有無でランダム化

この試験は、C型肝炎ウイルスの中でも、日本人に感染者が多いとされる「1型」というタイプのウイルスを駆除することを治療の目標としました。

研究班は、日本の19の施設で、C型肝炎ウイルス1型に感染した341人の成人を対象に試験を行いました。

対象者はレジパスビルとソホスブビルの2種類の薬で治療を受けるグループと、レジパスビル・ソホスブビルに加えてリバビリンの3種類で治療を受けるグループにランダムに振り分けられました。治療効果として、12週間の治療終了から12週後にウイルスが検出されなくなっている状態(SVR12)が達成されたかどうかを評価しました。

 

◆2成分使用ではSVR12が100%

試験から次の結果が得られました。

SVR12はレジパスビル・ソホスブビル群の171人(100%、95%信頼区間98-100、以前に治療を受けたことがない83人中の83人と治療経験のある88人中88人)で達成され、レジパスビル・ソホスブビル・リバビリン群の170人中167人(98%、95%信頼区間95-100、以前に治療を受けたことのない83人中80人と治療経験のある87人中87人)で達成された。

レジパスビル・ソホスブビル・リバビリン群の170人中2人(1.2%)が有害事象のために治療を中断した。レジパスビル・ソホスブビル群で最も多い有害事象は鼻咽頭炎(171人中50人、29.2%)、頭痛(171人中12人、7.0%)、倦怠感(171人中9人、5.3%)であり、レジパスビル・ソホスブビル・リバビリン群では鼻咽頭炎(170人中40人、23.5%)、貧血(170人中23人、13.5%)、頭痛(170人中15人、8.8%)だった。

レジパスビル・ソホスブビルの2成分を使うグループでは100%、リバビリンとあわせて3成分を使うグループでは98%でSVR12が達成されました。副作用の可能性がある症状などで多かったものは鼻咽頭炎、頭痛などで、その結果治療が中断された人が3成分のグループに2人いました。

研究班は「レジパスビルとソホスブビルの有効性、忍容性、および薬剤相互作用がないことは、この薬剤が日本のC型肝炎ウイルス1型の患者の治療において重要な選択肢となりうることを示唆している」と結論しています。

 

続々と現れる新薬によって、C型肝炎の治療は変わっていくかもしれません。

なお、ほかの新薬の試験もこれまでに紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。

「インターフェロンが効きにくいタイプのC型肝炎に新薬」

http://medley.life/news/item/552f757559aee11001ad5a68

「C型肝炎の新薬、効果は「95%」」

http://medley.life/news/item/555c89c459747e2f01e6332b

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Ledipasvir and sofosbuvir fixed-dose combination with and without ribavirin for 12 weeks in treatment-naive and previously treated Japanese patients with genotype 1 hepatitis C: an open-label, randomised, phase 3 trial.

Lancet Infect Dis. 2015 Jun

 

[PMID: 25863559]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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