2015.07.05 | ニュース

携帯で食事の写真を撮ってカロリー管理、その精度は?

オーストラリアで二重標識水法を基準に評価
from Nutrients
携帯で食事の写真を撮ってカロリー管理、その精度は?の写真
(C) milosducati - Fotolia.com

2型糖尿病は食生活が主な原因と考えられ、食事管理のためにさまざまな方法が考案されています。最近の試みのひとつに、携帯電話で手軽に撮れる写真を使って食事の内容を記録する方法があります。そのひとつ「NuDAM」をオーストラリアの研究班が2型糖尿病がある人を対象に試し、エネルギー摂取量を見積もることができたと報告しました。

◆食事日記と比較

研究班は、BMI(体重÷身長の2乗、30以上が肥満の診断)が30前後で全員に2型糖尿病の診断がある60歳前後の成人10人を対象として、NuDAMに加え、用紙に食事日記を書き込む方法(WFR)を使って食事内容を報告してもらいました。

2種類の方法で報告された内容から、それぞれ栄養士が摂取した栄養素の量を推定しました。

また、それらと同時に、調べたい期間の前に水素・酸素の同位体を含んだ水を飲み、尿中に排出された同位体の量を測る方法(二重標識水法)を使い、総エネルギー消費量(TEE)を推定しました。

TEEを基準として、NuDAMとWFRで似た結果が得られれば、NuDAMが既存の方法であるWFRの代わりに使えそうだと考える根拠になりえます

 

◆どちらの方法でも見積もりは少なめ

全員が2種類の方法で3日間ずつの食事を報告し、推定されたエネルギー摂取量について次の結果が得られました。

TEEに比べると、EI(MJ/日)の平均は、どちらの方法を使っても有意に低く報告され、EI/TEE比の平均はNuDAMで0.76±0.20、WFRで0.76±0.17だった。

エネルギー摂取量の推定値は、二重標識水法で推定したTEEと比べるとNuDAMでは0.76倍、WFRでも0.76倍と、いずれも少なく見積もられました

また、NuDAMの結果とWFRの結果はある程度一致し、統計的に有意な関連が見られました。

 

日本でも似た試みとして、スマートフォンのアプリで食事管理ができるサービスがあり、大学の研究班が関わっているものもあります。うまく使って簡単に食事管理ができるようになれば、食生活の改善と、2型糖尿病の対策につながるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Evaluation of a Mobile Phone Image-Based Dietary Assessment Method in Adults with Type 2 Diabetes.

Nutrients. 2015 Jun 17

 

[PMID: 26091234]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。