◆膝の痛みが軽度から中等度の患者をグルコサミン群とプラセボ群に分類
今回の研究は、膝の痛みが軽度から中等度である201人の患者を対象に、以下の方法で実施されました。
対象者は、1,500mgのグルコサミン塩酸塩を飲料の形で24週間摂取する治療を受けるか、プラセボ飲料を摂取した。
一次アウトカムとして、両膝の3テスラMRIを撮影し、軟骨ダメージの悪化が減少しているか、認められたスコアリングシステムであるthe Whole-Organ MRI Score (WORMS)を用いて評価した。
対象者をグルコサミンを飲む群と偽薬を飲む群にランダムに振り分け、その後の骨の画像に変化が現れるか調査しました。
◆グルコサミンを飲んでも、飲まなくても膝に改善がない
調査の結果、以下のことが報告されました。
対照群と比較してグルコサミン治療群では、WORMSスコアの何らかの下位項目において24週間に軟骨ダメージの減少が見られた尤度の調整したオッズ比は0.938(95%信頼区間0.528-1.666)であった。
グルコサミンを飲んでも、偽薬群と比較して骨の改善に影響は見られませんでした。
筆者らは、「慢性の膝の痛みがある患者に対して、グルコサミンを補充することにより、構造的利益(MRI上の形態的特徴またはCTX-IIの排出量の改善)を得られる根拠はこの短期間の研究からは得られなかった」と結論付けています。
膝の痛みと言えばグルコサミン、と考える方もいるかもしれませんが、この研究の対象者にはあまり効かなかったように見えます。ではどんな治療に効果があるのか、今後の研究が期待されます。
執筆者
Effect of oral glucosamine on joint structure in individuals with chronic knee pain: a randomized, placebo-controlled clinical trial.
Arthritis Rheumatol. 2014 Apr
[PMID: 24616448]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。