2015.06.26 | ニュース

がんの内側から放射線照射、新技術「PRRT」で手術できないがんを治療

頭頚部グロームス腫瘍に部分的分子応答
from European journal of nuclear medicine and molecular imaging
がんの内側から放射線照射、新技術「PRRT」で手術できないがんを治療の写真
(C) Jezper - Fotolia.com

手術が難しいがんの治療として、放射線療法は化学療法と並んで代表的ですが、がんの周りの正常な組織も放射線を浴びてしまうことが、副作用の原因になります。がんに放射線を集中させる技術として、「放射性核種標識ペプチド治療」(PRRT)という方法が試されています。ドイツの研究班がグロームス腫瘍というまれながんの治療にPRRTを使った結果、効果が見られたことが報告されました。

◆PRRTとは

がんの内部から放射線を照射する治療法のひとつです。がんに取り込まれて集まる物質に放射性物質を結合させて薬剤とすることで、がんの中に放射性物質が集まるようにします。

グロームス腫瘍はソマトスタチンというホルモンと結合する受容体を持っているため、ソマトスタチンと似た構造で、放射性物質と結合させた薬剤を注射で体内に送り込むと、薬剤はグロームス腫瘍の中に集まり、がんの内部から放射線を照射します。

 

◆手術ができないグロームス腫瘍

研究班は次の対象者をPRRTで治療しました。

手術不可能な頭頚部傍神経節腫があり、2006年6月から2014年6月の間に精査された9人の患者が対象とされた。

頭から首の部分にグロームス腫瘍ができ、手術ができなかった患者9人が対象となりました。

 

◆4人でがんが小さく

治療から次の結果が得られました。

分子応答(EORTC)基準に基づくと、9人の患者のうち4人に、治療に対してSUVmaxの有意な減少および腫瘍サイズの減少として部分的分子応答が見られた。

9人のうち4人で、がんの画像上の変化とともに、がんが小さくなり、治療の効果が現れていると見られました。

研究班は「PRRTはすべての患者に対して有効であり、神経学的症状としても遠隔進展としても疾患の増悪は見られなかった」と報告しています。

 

グロームス腫瘍はまれな病気で、手術ができない場合の治療は確立されていません。ほかの治療法が使えない人に新しい可能性をもたらす新治療が待たれています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Peptide receptor radionuclide therapy with 90Y/ 177Lu-labelled peptides for inoperable head and neck paragangliomas (glomus tumours).

Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2015 Mar 31. [Epub ahead of print]

 

[PMID: 25822655]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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