2015.06.16 | ニュース

肥満の人が減量したら、乾癬の症状が軽くなった

5件の研究のメタアナリシス

from International journal of obesity (2005)

肥満の人が減量したら、乾癬の症状が軽くなったの写真

皮膚にがさがさした発疹ができる乾癬は、肥満の人に多いと言われています。では肥満の人に乾癬の症状が現れたとき、やせると乾癬に良い影響があるのでしょうか。これまでの研究を統合してデータを解析した結果、減量のために生活習慣を変える治療を受けた人では、乾癬の症状が軽くなる傾向が見られたことが報告されました。

◆過体重・肥満の治療による乾癬への影響について文献検索

研究班は、論文データベースからこれまでの研究を検索し、乾癬のある過体重または肥満の人を対象として、食事または運動の習慣を変える治療により、乾癬の重症度に変化があったかを調べたものを集め、統合して統計解析しました。

採用基準は、乾癬がある過体重または肥満の患者に対して、食事または運動についての生活習慣の介入を試験し、アウトカムとして乾癬の重症度を対照群と比較したランダム化対照試験とした。

過体重とはBMI(体重÷身長の2乗、22前後が健康的とされる)が25以上、肥満とはBMIが30以上のことを指します。

 

◆減量治療により乾癬の症状が軽くなった

解析から次の結果が得られました。

12件の全文記事のうち、計878人の参加者を対象とした7件のランダム化対照試験が採用基準を満たした。このうち5件がランダム効果モデルによるメタアナリシスに含まれた。減量介入を受けた患者には、対照群よりも大きくPASIスコアの改善が見られ、統合後の平均値の差が-2.49(95%信頼区間-3.90から-1.08、P=0.004)だった。

減量の治療を受けた人では、そうでない人よりも乾癬の重症度が軽くなっていました

 

太っていること自体に乾癬を悪化させる要因があったのかもしれませんし、減量のため生活習慣を改善することの中に乾癬に良い要因があったのかもしれません。どちらにしても、乾癬の治療を考える上で参考になるかもしれない結果です。

なお、乾癬についての興味深い研究をMEDLEYニュースでもいくつか紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

「皮膚病の乾癬と心臓病の大動脈弁狭窄の意外な関係」

http://medley.life/news/item/557aa9df7c6821fd00d532cc

「糖尿病に乾癬が合併すると血管病変のリスクが上がる」

http://medley.life/news/item/55764f7eac1a360c019d18a2

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effect of lifestyle weight loss intervention on disease severity in patients with psoriasis: a systematic review and meta-analysis.

Int J Obes (Lond). 2015 Apr 29

 

[PMID: 25920774]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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