1時間に2分、座っている時間を軽い運動に変えると、死亡リスクに変化が!?
日本のような先進国はデスクワークが増えたこともあり、長時間、同じ姿勢でいることによって健康に影響がないかが心配されます。今回、アメリカの研究チームが座っている時間およびさまざまな活動をしている時間と死亡リスクの関係を分析したところ、1時間に2分間、座っている時間を軽い運動に置き換えると、死亡リスクが減少したという結果が出ました。
◆加速度計を用いて運動強度を計測
研究チームは、全米健康栄養調査(NHANES)のデータから、対象者の健康情報を取り出して、座っている時間およびさまざまな活動をしている時間を算出し、座っている時間と活動している時間が死亡リスクにどう影響しているか分析しました。
活動は以下の4段階に分類しました。
加速度計で記録されたカウントに基づいて、座っている(<100/min)、低強度の活動(100〜499/min)、軽い運動(500〜2019/min)、中等度/精力的の運動(≥2020/min)の時間を定義し、60分に標準化した。
◆1時間あたり2分間、座っている時間を軽い運動に変えると死亡リスクが減少
実験の対象者は3626人で、座っている時間は1時間あたり34.4±7.9分でした。
1時間あたり2分間、座っている時間をそれぞれの活動で置き換えて分析した結果は以下のとおりです。
座っている時間を、低強度の活動時間に置き換えても、[...]死亡率に関連しなかった。
座っている時間を、軽い運動時間に置き換えることはコホート全体において(ハザード比 0.67; 95% 信頼区間0.48から0.93)[...]死亡のハザード減少と関連があった。
座っている時間を、中強度/精力的な運動の時間に置き換えると[...]死亡ハザードの減少は
有意 ではなかった。
なおこの研究では腎臓の機能が低下する、慢性腎臓病患者に対しても同様の分析がされており、研究チームは「慢性腎臓病患者は、座っている時間がおよそ3分の2を占める。座っている時間を軽い運動に変える介入が延命効果をもたらすかもしれない。」と述べています。
この研究で言う「置き換える」とはあくまで計算上のことです。よって、実際に座っている時間を低強度の活動に置き換える介入をした場合に、死亡リスクを実際に減らせるかどうかはわかりません。もしこのような効果があれば、より実際の生活に取り入れたくなりますね。
執筆者
Light-Intensity Physical Activities and Mortality in the United States General Population and CKD Subpopulation.
Clin J Am Soc Nephrol. 2015 Apr 30.
[PMID: 25931456]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。