プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)
眼圧(眼の中の圧力)を上昇させる房水(眼房水)の排出(流出)を促進させたり、房水産生を抑えることによって眼圧低下作用をあらわし、緑内障などの悪化を防ぐ薬
同義語:
PG関連薬・β遮断薬配合剤

プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)の解説

プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)の効果と作用機序

  • 眼圧(眼の中の圧力)を上昇させる房水(眼房水)を減らすことにより眼圧低下作用をあらわす薬
    • 緑内障では眼圧が上昇することで、視野が狭くなるなどにより目が見えづらくなる
    • 眼球を満たしている房水の排出が滞ったり房水産生が過剰になると眼圧が上昇しやすくなる
    • 本剤は房水排出促進作用をあらわすプロスタグランジン(PG)関連薬と房水産生抑制作用をあらわすβ遮断薬の配合剤

プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)の薬理作用

緑内障は眼圧(眼球内部の圧力)が高くなってしまうことで視神経にダメージが加わり、視野が狭くなることなどにより目が見えづらくなる病気。

眼圧を上昇させる主な要因として眼球を満たしている房水(眼房水)があり、なんらかの理由でこの房水の排出(流出)が滞ったり房水産生が過剰になると、眼圧が上昇しやすくなる。

プロスタグランジン(PG)は、体内のさまざまな反応に関わる生理活性物質のひとつで、PGの中でもPGF2αという物質は房水の流出に深く関わる。PGF2αは主にFP受容体(プロスタノイド受容体のひとつ)へ作用し、流出経路から房水の排出を促進することで眼圧降下作用をあらわす。

交感神経のβ受容体は房水の産生に深く関わり、β受容体を遮断すると房水の産生が抑えられる。

本剤は房水排出促進作用をあらわすプロスタグランジン関連薬(PG関連薬)と房水産生抑制作用をあらわすβ受容体遮断薬の配合剤で、作用の仕組みの異なる2種類の成分によって眼圧低下作用をあらわす。また本剤は、1回の点眼手技で2種類の成分を同時に点眼できるため、アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)などへのメリットも考えられる。

プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)の主な副作用や注意点

  • 眼・眼周囲症状
    • 色素沈着(皮膚が黒ずむ)、多毛(まつ毛などが濃くなる)、刺激感、充血、角膜障害などがあらわれる場合がある
    • 色素沈着や多毛などの予防のため、点眼後にあふれた薬液をガーゼやティッシュで拭き取ることなども重要となる
  • 全身症状
    • 主に点眼後、薬液が眼と鼻をつなぐ管を通り体内へ吸収されることによって生じる
    • 頻度は稀とされるが、β遮断作用により気管支の収縮や気管支喘息が誘発されたり、不整脈や血圧変動などがあらわれる可能性がある

プロスタグランジン関連薬・β遮断薬配合剤(点眼薬)の一般的な商品とその特徴

ザラカム

  • ラタノプロスト(PG関連薬)とチモロール(β遮断薬)の配合剤
    • 専用の点眼補助器具(ザライース)がある

デュオトラバ

  • トラボプロスト(PG関連薬)とチモロール(β遮断薬)の配合剤

タプコム

  • タフルプロスト(PG関連薬)とチモロール(β遮断薬)の配合剤

ミケルナ

  • ラタノプロスト(PG関連薬)とカルテオロール(β遮断薬)の配合剤