分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)
細胞が増殖するために必要なシグナル伝達に関わる上皮成長因子受容体(EGFR)に結合することで細胞増殖のシグナル伝達を遮断し、がん細胞増殖抑制作用などをあらわす薬

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)の解説

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)の効果と作用機序

  • がん細胞の増殖に関わる上皮成長因子受容体に結合することでこの受容体の働きを抑え、がん細胞の増殖抑制作用などをあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖のシグナル伝達で必要な上皮成長因子受容体(EGFR)というものがある
    • 本剤はがん細胞表面に存在するEGFRに結合することでこの受容体の働きを阻害し細胞増殖のシグナル伝達を遮断する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)の薬理作用

がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。

細胞が増殖するために必要なシグナルを受け取る上皮成長因子受容体(EGFR)というものがあり、がん細胞表面に存在するこの受容体にシグナルが伝わり異常な細胞増殖が行われる。

本剤は細胞表面にあるEGFRに結合することで、EGFRの働きを阻害し細胞増殖のシグナル伝達を遮断することで抗腫瘍効果をあらわす。

本剤は特定物質に結合する抗体として免疫細胞から造られたモノクローナル抗体であり、がん細胞の増殖に関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる。

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)の主な副作用や注意点

  • 皮膚障害
    • ざ瘡ざ瘡皮疹、皮膚乾燥・亀裂、発疹爪囲炎眼瞼炎口唇炎などがあらわれ場合によっては症状が重度となることもある
    • 症状の悪化を防ぐため継続的なスキンケアなどが重要となる
  • 消化器症状
    • 下痢、口内炎、食欲不振、吐き気・嘔吐などがあらわれる場合がある
  • 間質性肺炎
    • 少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空咳が出る、発熱するなどがみられこれらの症状が急に出現したり、持続したりする
    • 上記のような症状がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 心・血管系症状
    • 非常に稀だが、心不全血栓症などがあらわれる場合がある

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)の一般的な商品とその特徴

アービタックス

  • 通常、RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん、頭頸部がんで使用する
    • FOLFOX療法やFOLFIRI療法などの薬剤と併用する場合もある