じかねつ
ジカ熱
ジカウイルスによる感染症で、発熱や関節痛を引き起こす。妊婦が感染すると、流産および胎児の小頭症の原因となる
4人の医師がチェック 52回の改訂 最終更新: 2021.08.06

ジカ熱の基礎知識

POINT ジカ熱とは

ジカウイルスによる感染症です。日本国内で感染したという報告はないですが、海外旅行帰りに発症したという例はあります。流行地である中南米へ旅行に行った妊婦が感染することで、流産したり子どもの頭が小さくなったりすること(小頭症)が報告されています。主な症状は発熱・関節痛・目の充血や違和感・皮膚出る赤いぶつぶつなどになります。感染が起こったらみなが発症するわけではなく、感染者の7,8割は症状が出ないことが分かっています。 血液検査を行って診断します。治療には特効薬はありませんが、重症の場合には症状を和らげる治療(対症療法)を行います。ジカ熱が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診してください。

ジカ熱について

  • ジカウイルスによる感染症
    • ジカウイルスはフラビウイルス属と呼ばれる種類のウイルスで、デング熱を引き起こすデングウイルスと同じ属に分類される
  • 蚊がウイルスを媒介し、その蚊に刺されることで感染する
    • ヒト-ヒト感染は原則的にしないため、感染者を隔離する必要はない
  • 日本国内での感染は報告されていない
    • 海外で感染した日本人旅行者が、帰国後にジカ熱と診断されたことはある
    • 2016年1月現在、流行地である中南米への妊婦の旅行とそれに伴う新生児の小頭症が問題となっている
  • 潜伏期間は2-12日

ジカ熱の症状

  • 主な症状
    • 発熱
    • 関節の痛み(関節炎)
    • 目の充血や違和感(結膜炎
    • 皮膚の赤みやぶつぶつとした皮疹
  • 通常は1週間以内に症状が自然に改善し、重症化することも少ない
    • 感染していても75-80%の人には症状が出ない(潜伏感染
  • 妊婦が感染すると、流産および胎児の小頭症の原因となるため注意が必要である
  • ジカウイルス感染の影響でギランバレー症候群を発症するリスクが指摘されている

ジカ熱の検査・診断

  • 特別な治療なしで自然に治る病気であることと、簡単に診断できる検査が存在しないことから、必ずしも検査が必要となるわけではない
    • 重症の場合や、感染者が妊婦である場合には検査が推奨される
  • 血液検査、尿検査でウイルス感染を確かめる
    • ウイルス分離、PCR法、ペア血清による抗体確認といった検査法が取られるが、いずれもごく限られた医療機関でしか実施ができない特殊な検査である
    • 検査結果が出るまでに時間がかかり、その前に症状が改善してしまうことも多い

ジカ熱の治療法

  • ジカウイルスに効果的な治療薬は現時点で存在しない
    • 発熱や関節痛に対して、解熱薬、痛み止めといった対症療法を行う
  • 自然の経過で通常1週間以内に治癒する
  • 予防のためのワクチンはまだ開発されていない

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