2016.12.08 | ニュース

細菌がジカウイルスを防ぐ?感染した蚊の体に起こった変化

蚊に感染させる実験
from Cell host & microbe
細菌がジカウイルスを防ぐ?感染した蚊の体に起こった変化の写真
(C) dragi52 - Fotolia.com - Fotolia.com

小頭症などを起こすジカウイルスにはワクチンも治療薬もありません。ウイルスを持った蚊に刺されることで感染します。蚊を使った研究から、ある細菌に感染した蚊の体内ではジカウイルスが少なくなっていたことが報告されました。

ブラジルの研究班が、細菌に感染した蚊に起こる変化の研究を専門誌『Cell Host & Microbe』に報告しました。

ジカウイルスはネッタイシマカという蚊が媒介します。蚊の中にウイルスが入り込み、ウイルスを持った蚊が人を刺すことで感染します。

この研究では、ネッタイシマカがボルバキアという細菌に感染したときの変化を調べています。ボルバキアは蚊に感染すると蚊の体にさまざまな変化を起こすことが知られています。ボルバキアに感染した蚊で、ジカウイルスに対する性質が変わるかどうかが調べられました。

 

研究班は、ボルバキアに感染した蚊と感染していない蚊を用意し、両方にジカウイルスを含む人間の血液を吸わせました。つまり、蚊をジカウイルスに触れさせて、感染しやすさを比べました。

その結果、ウイルスに触れさせてから14日目に、ボルバキアに感染した蚊のほうがジカウイルスが65%から90%程度少なくなっていました

次いで、蚊を解剖して唾液腺(だえきせん)の中のジカウイルスを測定しました。その結果、ボルバキアに感染した蚊では、唾液腺にジカウイルスがいる割合が55%程度少なくなっていました

 

さらに、蚊の唾液腺にいたジカウイルスをほかの蚊に注射する実験が行われました。ボルバキアに感染していない蚊の唾液腺からほかの蚊に注射すると、注射した80匹のうち85%の68匹にジカウイルスが感染しました。対して、ボルバキアに感染した蚊の唾液腺からほかの蚊に注射すると、80匹のうちジカウイルスが感染した蚊は一匹もいませんでした

研究班は「このデータから、ボルバキアに感染した蚊を利用することでジカウイルスの感染を減らすメカニズムを提示できる可能性があり、ジカウイルスの管理戦略の一部とされるべきである」と結論しています。

 

この報告は実験室で行われたものです。人間に対して感染しにくくなるかどうかは確かめられていません。また、ボルバキアに感染した蚊を広める方法なども検討外です。

効果は未知とはいえ、ウイルスの広がりかたに影響する要素を調べ上げることが将来の対策に結び付くかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Wolbachia Blocks Currently Circulating Zika Virus Isolates in Brazilian Aedes aegypti Mosquitoes.

Cell Host Microbe. 2016 Jun 8.

[PMID: 27156023]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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