せっぱくそうざん
切迫早産
早産になる危険性が高い状態のこと
6人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2022.01.28

切迫早産の症状、検査はどんなものがある?

切迫早産は、自覚症状や検査結果を元に総合的に診断します。病院では「お腹が張っていますか?」「子宮頸管長が短い」「子宮口が開いている」などと言われることがあります。切迫早産の診断に関わる検査などを解説します。

1. 子宮収縮(お腹の張り)とは?

子宮収縮(お腹の張り)は一時的に子宮の筋肉が緊張することを指します。押しては返す波のように症状が出たり、収まったりするのが通常です。そのため、お腹が大きくなることで感じる皮膚の突っ張りとは区別されます。子宮収縮の症状がある場合には以下のような自覚として感じられます。

  • おへその下辺り(子宮のある部位)を触れると硬く触れる
  • 下腹部が圧迫される、突っ張るように感じる
  • お腹の中で風船が膨らんでいるような感じがある

妊娠30週ごろからは、胎動が盛んだった時やお母さんが動き過ぎた時に一時的に子宮収縮を自覚することがあるかもしれません。お腹の張りが気になる場合に、30分から1時間程度を目安に横になって休むとお腹の張りが落ち着くようであれば問題はないことがほとんどです。しかし、切迫早産の場合には、横になっていても以下のような症状が続くことがあります。

  • 横になっていても治まらず、定期的にお腹の張りを感じる
  • お腹の張りに伴って痛みがある
  • 出血がある

子宮収縮は自覚症状だけではなく、ノンストレステストという検査を20分から40分ほど行うことで、子宮収縮の周期(何分おきにお腹の張りがあるのか、張りの長さや強さはどの程度か)と胎児の心拍数を客観的に検査することができます。規則的にお腹の張りがあることは子宮頸管長を短くさせたり、子宮口の開大を促す作用があります。そのためお腹の張りが規則的(10分に1回程度が目安)である場合には、子宮収縮抑制剤の使用が検討されます。

2. 子宮頸管長が短いとは?

図:子宮の構造と各部の名前。子宮頸部の長さを子宮頸管長と言う。

子宮頸管長とは、赤ちゃんがいる子宮の出口部分(子宮頸部)の長さのことを指します。

正常な子宮頸管長は妊娠初期から妊娠中期(妊娠27週6日まで)で約40mm、妊娠32週以降では25mmから30mmまで徐々に短縮します。過去の研究では妊娠22週から24週時点での子宮頸管長と妊娠33週以前の早産の関係において、子宮頸管長が26mmの人の早産リスクは40mm以上の人の6.2倍であり、頸管長が13mmの人の早産リスクは14倍と報告されており、子宮頸管の長さが短いほど早産率が増加することがわかります。妊婦健診の際に子宮頸管長をいつ、どのくらいの頻度で測定するかという基準は病院によって異なります。しかし上記のような研究結果から早産のリスクを判定する目的で、少なくとも妊娠18週から妊娠24週の間に1回以上は子宮頸管長の測定が行われることが多いです。

またお腹の張りや痛み、出血などの切迫早産の症状がある場合には、経腟超音波検査で子宮頸管長を測定し子宮頸管長の短縮の有無を確認します。頸管長が何ミリ以下が切迫早産の診断対象というものはなくお腹の張りや出血、破水の有無など他の自覚症状と照らし合わせ総合的に診断されます。1つの目安としては、頸管長が妊娠28週未満で30mm未満は切迫早産と診断とされる場合が多く、妊娠24週未満で頸管長25mm未満の場合には早産となる危険性が高いとされます。妊娠前に子宮頸部円錐切除術などの手術していたことがあり子宮頸管が短い場合にも、早産のリスクは高くなります。子宮頸管無力症といって自覚症状はないにもかかわらず子宮頸管長が短縮する場合もあります。そのため自覚症状と子宮頸管長の短縮は必ずしも一致するものではありません。

参考文献
Guzman ER, Ananth CV. Cervical length and spontaneous prematurity: laying the foundation for future interventional randomized trials for the short cervix. Ultrasound Obstet Gynecol. 2001 Sep;18(3):195-9.

3. 子宮口が開いているとは?

子宮口とは、赤ちゃんが入っている子宮の出口のことをいいます。

子宮口は正期産(妊娠37週0日以降)に入るまで閉じているのが正常で、子宮口が閉じていることで赤ちゃんを子宮内にとどめることができ妊娠が維持されます。そのため妊娠37週よりも前に子宮口が開いてきている場合には、早産の可能性が高くなります。子宮頸管長が短い場合には子宮口も開きやすい状態になります。子宮口の状態は、経腟超音波検査や内診によって判断をします。子宮口が開いている場合、赤ちゃんを包んでいる卵膜が押し出されて膣内に出てきている場合があり、そのような場合には早産のリスクが更に高まります。

妊娠中の出血や子宮収縮の自覚が強い場合には、子宮口が開いている可能性があります。しかし、子宮頸管無力症といって自覚症状はないにもかかわらず子宮頸管長が短縮し、子宮口も開大をする場合もあります。頸管無力症と診断された場合には、子宮口の開大を防ぐために子宮頸部を糸で縛るという子宮頸管縫縮術を行う場合があります。

4. 妊娠中の出血は早産の兆候?

子宮口の開大がみられると卵膜が子宮の壁から剥がれることによって性器出血が起こることがあります。そのため、切迫早産の1つの兆候として出血があげられます。妊娠中の出血は切迫早産だけではなく、前置胎盤常位胎盤早期剥離、絨毛膜下血腫など妊娠中のその他の疾患によっても起こる可能性があります。切迫早産の兆候として出血がみられる場合には、お腹の張りや痛みを伴うことが多いですが、いずれの場合も出血の原因を特定するためには、内診やクスコによる視診、超音波検査などを行う必要があります。出血がごく少量で古い血(赤黒いような旧血)であれば問題ないことが多いですが、妊娠中の出血を自己判断で様子をみることは危険です。そのため妊娠中に出血が見られた場合には、かかりつけの病院へ連絡し受診の必要性の確認を行いましょう。

5. 切迫早産の検査には何がある?

切迫早産では、自覚症状だけではなく客観的な検査を行い子宮口の状態や切迫早産の原因を特定していきます。

膣鏡診(クスコ診)

クスコという産婦人科の検査具をかけることで膣分泌物の性状や膣内の炎症、出血、破水の有無を確認します。

内診

内診とは、内診台の上で膣に指を入れて子宮口などの様子を触って調べる診察のことをいいます。内診をすることで子宮口の状態や柔らかさ、赤ちゃんがどこまで降りてきているのかを直接触れて確認をします。子宮口の状態とは子宮口の開大や子宮頸管の展退度を確認することができ、切迫早産の診断に役立ちます。

経腟超音波検査

診察台の上で経腟的に細長い超音波の検査機器をいれて、子宮頸管長や子宮口の開大を画像上で確認します。通常の妊婦健診での子宮頸管長の測定の時期や頻度の有用性については結論づけられていませんが、妊娠18週から24週ごろの検査が勧められています。

子宮頸管長は経時的にその変化を観察することで、切迫早産やその後の経過を予測するのに有用です。そのため切迫早産の兆候がある場合には、超音波検査を定期的に行っていきます。

胎児心拍陣痛図の測定(ノンストレステスト)

ノンストレステスト(NST)とは、子宮収縮(何分おきにお腹の張りがあるのか、張りの長さや強さはどの程度か)と胎児の心拍数を観察するために行う検査のことをいいます。検査は、ベットで安静にした状態で2つの丸い機器をお腹の上に装着し、約20分から40分ほど行われます。出力される図を胎児心拍陣痛図と言います。

血液検査

切迫早産の大きな原因の1つとして絨毛膜羊膜炎といわれる子宮内の細菌感染があります。そのため血液検査を行い、白血球数やCRPといわれる炎症反応を確認することで感染している兆候があるかどうかを調べます。結果によっては、抗菌薬の投与が検討されます。

膣培養検査

切迫早産の原因の1つとしては感染があります。膣の中には通常、常在菌といわれる菌が存在することで膣内を酸性に保っています。しかし、何らかの原因で膣内の菌のバランスが崩れ異常な細菌が増殖し、卵膜や赤ちゃんに感染してしまうと絨毛膜羊膜炎といった早産の原因となるような感染を起こす可能性があります。そのため感染が疑われる場合には、膣内の菌のバランス状態を確認するために、おりものを培養検査することがあります。方法としては、細長い綿棒で子宮内のおりものをぬぐい、検査に提出をします。検査の結果感染が疑われる場合には、抗菌薬の投与が検討される場合があります。

早産マーカー検査

絨毛膜羊膜炎は切迫早産の大きな原因になりますがその多くは無症状で進行し、発熱や胎児頻脈、採血による感染兆候などの症状が現れた場合には早産に至る可能性が高くなってしまうのが現状です。感染が重度になる前に、子宮内で起こっている炎症の兆候(早産マーカー)を捉えることで早期に治療を開始することや早産を予知することを目的に行われる検査を早産マーカー検査といいます。早産マーカーで陽性もしくは高値であるために必ず早産になるというわけではありませんが、早産のリスクが高いとされ治療が検討されることがあります。子宮頸管の分泌物を綿棒で採取し検査を行います。

●顆粒球エラスターゼ

顆粒球が放出するタンパク分解酵素の一種で、膣炎や頸管炎が起こると頸管分泌物内に放出されます。早産や前期破水発症の2週間前から上昇するといわれています。

胎児性フィブロネクチン

胎児由来の糖タンパク質で通常、胎児血や羊水中に認められるものを癌胎児性フィブロネクチンといいます。通常は子宮頸管や膣には認められませんが、卵膜の損傷により膣や頸管に検出されるようになります。妊娠20週以降に頸管に認められる時には、絨毛膜羊膜炎を疑い、早産発生の1週間から2週間前から高値を示すようになるといわれています。名称に「癌」とついてはいますが、悪性腫瘍の癌とは無関係です。