外反母趾の原因:パンプスやハイヒールなどの靴、扁平足など
外反母趾の原因にはパンプスやハイヒールなどの先の狭くなった靴の使用がありますが、女性であるというだけでも男性と比較して外反母趾になりやすくなります。加えて遺伝的な要因もあると考えられています。ここでは外反母趾の原因について詳しく説明します。
1. 靴:パンプス・ハイヒールなど
靴を履くという生活習慣自体が外反母趾の原因となると考えられています。一方、履く靴の種類や、履いている時間の長さも外反母趾のなりやすさに影響すると考えられています。幅の狭いパンプスやヒールのある靴を履いたり、靴を履いている時間が長かったりすると、外反母趾になりやすくなります。
2. 性別
外反母趾は女性がなりやすい病気です。女性の方が外反母趾の原因となるハイヒールなどの靴を履く機会が多いためと考えられますが、靴の影響を除いても、女性の方が男性より外反母趾になりやすいと言われています。女性に外反母趾が多いのは、男性よりも関節が柔らかく筋力が弱い傾向にあることから、靴に押される力の影響を受けやすいためと考えられています。女性であることだけで外反母趾のリスクは高くなるため、予防方法としてパンプスやハイヒール履く時間を短くするなどの工夫を心がけると良いです。
3. 遺伝
家族に外反母趾の人がいる場合には、外反母趾になりやすいことが知られており、何らかの遺伝的要因があるのではないかと考えられています。しかし、具体的にどのような遺伝子の変化が外反母趾を引き起こすかなどについては、まだ解明されていません。
4. 歩き方
特定の歩き方が外反母趾の原因になるとは現時点では考えられていません。また外反母趾が悪化する歩き方や、改善する歩き方というのも大規模な研究ではわかっていません。足指の周りの筋力が低下すると外反母趾が悪化することが示唆されているため、足指の運動をしたり、足裏全体を使って歩くようにして筋肉を鍛えることは、外反母趾の悪化予防になる可能性があるかもしれません。
5. 扁平足・開帳足
足裏の土踏まずの部分はアーチとも呼ばれ、細かくは横のアーチと縦のアーチに分けられます。横のアーチは母趾の付け根と小指の付け根を結ぶラインで、縦のアーチはかかとと母趾の付け根を結ぶアーチと、かかとと小指を結ぶアーチの2本あります。この3本のアーチによって足の蹴り出しをよくしたり、体重をかけた時にバランスよく立てるような仕組みになっています。
扁平足とは母趾とかかとを結ぶ縦のアーチがなくなった状態で、開張足とは横のアーチがなくなった状態です。扁平足や開帳足と外反母趾との関連を報告する論文が多いですが、関連していないという報告もあり、関連性についてはまだはっきりはしていません。
【参考文献】
・外反母趾診療ガイドライン2014
・J Bone Joint Surg Br. 1951 Aug;33-B(3):376-91.
・Br Med J. 1965 Jun 26;1(5451):1648-50.
・Gerontology. 2005 Sep-Oct;51(5):346-51.