がいはんぼし
外反母趾
足の親指が体の外側(小指側)を向いて変形してしまう病気、またはその状態
4人の医師がチェック 14回の改訂 最終更新: 2019.02.06

外反母趾の人が気をつけるべきこと:予防方法、靴の選び方など

外反母趾かもしれないと思ったら、このまま放置したらどうなるのか、進行を防ぐにはどのようなことをした方がいいのかが気になるところです。ここでは外反母趾の人が気をつけるべき日常生活の注意点などについて説明します。

1. 子どもでも外反母趾になるのか

15歳未満の子どもでも外反母趾になることがあります。生まれつきの外反母趾もありますが、子どもの時期から発症する後天的な外反母趾もみられ、大人と同様に男性より女性に多い傾向があります。子どもの時期からの外反母趾では、第二次性徴で体重が増える時期に進行しているともいわれており、この時期に履く靴に注意することは外反母趾の進行を抑えることができるかもしれません。

2. 男性でも外反母趾になるのか

女性の方が多いとはいえ男性でも外反母趾になることはあります。傾向として男性は女性に比べて筋肉などの組織が強く、また、靴を選ぶ時はファッション性よりも機能性を重視していることが多いため、外反母趾になる人は少ないと考えられています。男性も女性と同じく加齢とともに外反母趾になる人が増え、特に50代から60代にかけて増加するという報告があります。

3. 外反母趾の予防方法はあるか:運動や予防グッズなど

外反母趾の予防には足先を圧迫しすぎない靴選びと足指の筋力トレーニングが効果的です。外反母趾の主な原因はハイヒールなどの足に合わない靴と筋肉の衰えです。女性は若い時には特にデザインなどにこだわって靴を選んでしまいがちですが、足が痛かったりタコができている場合には足に合わない靴を履いている可能性があります。その時点では軽度の外反母趾であっても、加齢とともに筋肉が衰え、40代以降で外反母趾が悪化する可能性があります。足に合わない靴は外反母趾の原因になりますので、こちらのページを参考に靴選びをしてみてください。

また、足指の筋力低下も外反母趾の原因になります。筋力の衰えがちな中年以降では、足指の筋力を鍛えることで外反母趾の予防が期待できます。具体的には足指の体操などを行います。詳しい体操の方法はこちらに書いてありますので参考にしてください。

4. 外反母趾の症状を改善させるグッズは何があるか

外反母趾用のグッズにはさまざまなものがあります。グッズのみでは外反母趾を治すことは難しいですが、一時的な痛み改善の効果があるものもあるため、試してみても良いかもしれません。薬局やネットで購入可能ものもありますし、病状に応じておすすめのものをお医者さんに相談してみても良いです。あくまで痛みを和らげる目的であるため、痛い場合には使用をやめて、整形外科のお医者さんに相談してみてください。

靴下(ソックス)

外反母趾用に足の親指(母趾)が分かれた足袋のような靴下や、五本指に分かれた靴下があります。なかには足の横のアーチを支える編み方をしていたり、足の裏にパッドがついていたり、母趾を外側に引っ張ったりするような形に編んであるものもあります。

サポーター

外反母趾用のサポーターが薬局などでも販売されています。装具療法で説明したような、母趾と第2趾の間に挟むものや、母趾を内側に引っ張って矯正するもの、足のアーチ(土踏まず)を支えるようなものなどがあります。これらの装具には外反母趾の痛みを軽くする効果があります。軽症の外反母趾では変形を改善する効果があるという報告もあります。痛みが改善するようであれば試してみても良いかもしれませんが、装着しても痛い場合には使用を中止し、整形外科で相談して足にあった装具を使うことをお勧めします。

パッド

外反母趾用のパッドには、バニオン部分に当てて痛みを和らげるためのものや、靴に入れて足のアーチを維持するためのものがあります。いずれも痛みを改善する効果が期待できます。靴のサイズによってはパッドを入れることで、狭くなって痛みが悪化する可能性がありますので、靴のサイズや形にも注意してください。

5. 外反母趾の進行を防止する方法

外反母趾が軽症の場合には、靴選びに気をつけたり、運動や装具療法などを行うことで、進行を抑えられる可能性があります。しかし、痛みなどがある場合には一度整形外科にも相談してみてください。

6. 外反母趾を放置した場合の経過

外反母趾を治療せずに放置した場合、中足骨の関節が亜脱臼を起こしていない人では進行がしないことがあります。しかし、中足骨の関節が亜脱臼をしている人では、放置すると半分の人で外反母趾が進行するといわれています。

軽症から中等症の外反母趾でバニオン(足の内側のくの字の出っ張り部分)の痛みがある場合には、放置したり装具で治療するよりも、手術をすることで痛みの症状が改善します。装具での治療は一時的な痛みの改善のみで、治療を中止すると再び痛みが出てしまうため、結果的には放置した時とあまり変わらないのではないかともいわれています。

関節が亜脱臼している人は放置すると進行するため、手術治療を含めた治療を検討することをお勧めします。脱臼や亜脱臼がない人では、痛みの程度に合わせて治療方針を担当のお医者さんとよく相談してみてください。

7. 外反母趾が治らない時の対策

外反母趾は早期に治療を開始すれば進行を食い止められることが多いですが、変形が進んで関節がずれ亜脱臼を起こした場合には歩くだけで変形が進行したり痛みが起きます。痛みの緩和には装具療法が効果的ですが、変形を改善する効果は高くありません。痛みが強くて日常生活で不便なことが多い人は、お医者さんと相談して手術を検討してみてください。

8. 外反母趾での靴・シューズの選び方

外反母趾で痛みがある人は靴を選ぶのに悩むことがあると思います。適切な靴選びは外反母趾治療の最初に行われるものです。外反母趾では母趾の内側の出っ張り(バニオン)に痛みが起こることが多いため、バニオンを圧迫しないような足の先のスペースが広い靴を選びます。靴を選ぶ具体的な条件は「外反母趾の治療:靴の見直し」に書いてありますので参考にしてください。

ここでは靴の種類と選び方について説明します。

スニーカー

スニーカーはサイズがきちんとあっているもので、緩すぎず締め付けのないものを選んでください。

サイズ選びでの注意点は、革靴などのサイズ表記とスニーカーのサイズ表記が異なることがあるということです。一般的にスニーカーを選ぶときは、いつも履いている革靴のサイズより大きなサイズを選ぶ方が適しています。革靴などで24cmとある場合には、足の大きさが24cmの人が履く靴を表していて、実際の靴の長さは1cmから1.5cm長くなっていることが多いです。そのためいつも革靴で24cmを履いている人が24cmのスニーカーを履くと小さく感じることがあります。メーカーによってサイズは異なるため、試着して確認してください。確認する時は、母趾をあげてみてその位置からつま先に1cm程度余裕があるものを選ぶと良いです。

靴選びには縦の長さのみではなく横幅も重要です。外反母趾になると足の横幅が広くなるので、足先のスペースも広いものが望ましいですが、広ずぎるとかえって足が中で動いてぶつかってしまうことがあります。ぴったりフィットしつつ締め付けない程度の幅のものが理想的です。

また、履くたびにヒモを締め直して足がスニーカー内で動きすぎないようにするのがコツです。きちんとヒモを締めることで足の横方向のアーチを型作ることもできます。インソールはカスタムメイドなどもありますので、足の裏のタコが痛い時などはオーダーインソールを使用してみてもいいかもしれません。

サンダル・スリッパ

サンダルやスリッパを使用する時には、足のアーチを維持する形になっているものを選ぶと良いです。外反母趾では横方向のアーチが崩れて開張足になっていることが多いです。また縦方向のアーチ(土踏まず)がなくなって扁平足になっている場合もあります。アーチ部分を支えて矯正するようなサンダルやスリッパがありますので試してみてください。

ブーツ

外反母趾であってもブーツを履きたい時があるかもしれません。その場合には足を締め付けないよう、つま先が細くなっていないもので、ヒールは3cm以下の靴にすることをお勧めします。足が前に滑るとつま先が圧迫されて痛みが悪化するため、滑らないようにホールドがきちんとしているものが望ましいです。

【参考文献】

・酒向俊治,杉浦弘通,江西浩一郎ほか : 40歳以降の第一趾側角にみる性差. 靴医学 2011;25(2):150-154