ろほうせいりんぱしゅ
濾胞性リンパ腫
悪性リンパ腫の一種でB細胞リンパ腫に分類される。低悪性度のことが多い
2人の医師がチェック 16回の改訂 最終更新: 2026.06.13

濾胞性リンパ腫の基礎知識

POINT 濾胞性リンパ腫とは

悪性リンパ腫の一種で、B細胞リンパ腫に分類される低悪性度リンパ腫です。ゆっくり進行することが多く、痛みのないリンパ節の腫れで気づかれることがありますが、診断時には複数のリンパ節や骨髄などに広がっていることも少なくありません。具体的には、首・わきの下・足の付け根などのリンパ節腫脹、発熱、寝汗、体重減少、倦怠感などがみられます。診断を行う際には血液検査や、画像検査、骨髄検査に加え、リンパ節や腫瘍組織の生検も重要です。治療は病期、症状、腫瘍量、全身状態に応じて、経過観察、放射線治療、抗CD20抗体療法、化学免疫療法、維持療法などを治療法検討します。濾胞性リンパ腫の診断や治療は血液内科や内科などで行われます。

濾胞性リンパ腫について

  • 悪性リンパ腫の一種で非ホジキンリンパ腫に分類されるB細胞リンパ腫
  • ゆっくり進行することが多い低悪性度リンパ腫
  • リンパ節の中に「濾胞」と呼ばれる構造を作りながら増殖することに由来する
  • 経過が比較的ゆるやかな一方、再発を繰り返しやすい性質がある
  • 一部でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫など、より進行の速いリンパ腫へ変化することがある
  • はっきりした発症原因は不明
  • 中高年以降で発症しやすい
  • 日本でも悪性リンパ腫の中で比較的頻度の高い病型
  • 年単位でゆっくり進行し、初期には症状が乏しいことも多いので、進行した状態で見つかることも少なくない
  • 症状や腫瘍量が少ない場合、すぐ治療せず経過観察となることもある

濾胞性リンパ腫の症状

  • リンパ節の腫れ
    • 首、わきの下、足の付け根などのリンパ節腫脹
    • 痛みを伴わないしこりとして気づくことが多い症状
    • 胸や腹部のリンパ節では自覚症状に乏しく、画像検査で発見されることもある
  • B症状:病勢や治療方針を考えるうえで重要な症状
    • 原因不明の発熱
    • 寝汗、特に衣服や寝具を替えるほどの盗汗
    • 意図しない体重減少
  • 大きくなったリンパ節による圧迫症状:圧迫症状がある場合は早急な対応が必要なことがある
    • 腫れたリンパ節による周囲臓器の圧迫
    • 腹部リンパ節による腹部膨満感や腹痛
    • 尿管圧迫による水腎症
    • 静脈圧迫によるむくみ
    • 脊髄圧迫によるしびれ、麻痺などの可能性
  • 骨髄浸潤による症状:進行例で問題になることがある症状
    • 貧血による息切れ、だるさ、動悸
    • 白血球減少による感染しやすさ
    • 血小板減少による出血しやすさ、あざ -症状がないこともある
    • 健診や別目的の画像検査で偶然見つかることがある
    • 症状がないまま長く経過することもある病気
    • 無症状でも病期評価や経過観察が必要な状態である
  • 形質転換を疑う症状
  • 急にリンパ節が大きくなる状態
  • 発熱、寝汗、体重減少の出現や悪化
  • LDH上昇、強い倦怠感、痛みなどを伴うことあり
  • 進行の速いリンパ腫への変化を考える必要がある所見

濾胞性リンパ腫の検査・診断

  • 問診・診察
    • リンパ節腫脹の部位、大きさ、経過の確認
    • 発熱、盗汗、体重減少などB症状の確認
    • 倦怠感、感染、出血傾向、圧迫症状の確認
    • 全身のリンパ節、肝脾腫、皮膚所見などの診察
  • 血液検査:治療前の全身状態や病勢評価に用いる検査
    • 貧血白血球減少、血小板減少の確認
    • LDH、可溶性IL-2受容体、肝腎機能などの確認
  • 画像検査:病期分類、治療方針、治療効果判定に重要な検査
    • CT検査:リンパ節腫大や臓器病変の評価
    • PET-CT:全身病変の把握や活動性の評価
    • MRI検査:中枢神経、脊髄圧迫、特定部位の評価で検討
  • 生検:濾胞性リンパ腫か、ほかのリンパ腫か、形質転換がないかの確認
    • 診断に最も重要な検査
    • 腫れたリンパ節や腫瘍組織を採取して病理診断
    • 可能であればリンパ節全体を取る切除生検が望まれることがある
    • 針生検のみでは診断や悪性度評価が不十分になることがある
  • 病理・免疫染色・遺伝子検査:治療方針や鑑別診断に重要な情報
    • 腫瘍細胞の形態、濾胞構造、悪性度グレードの確認
  • 骨髄検査
    • 骨髄への浸潤の有無を確認する検査
    • 病期分類や血球減少の原因評価に有用
  • 病期分類・リスク評価:治療開始の必要性と治療選択を考える判断材料
    • Ann Arbor分類による病期評価
    • 腫瘍量、B症状、LDH、血球数、病変部位などの確認
    • FLIPIなどの予後指標を用いることがある

濾胞性リンパ腫の治療法

  • 治療方針の基本
    • 病期、症状、腫瘍量、進行速度、年齢、全身状態に応じた治療選択
    • 進行がゆっくりで症状がない場合は、すぐに治療せず経過観察となることがある
    • 症状、腫瘍量増加、臓器圧迫、血球減少などがある場合に治療開始を検討
  • 経過観察
    • 低腫瘍量で無症状の場合の選択肢
    • 定期的な診察、血液検査、画像検査による確認
    • 「治療しない」のではなく、治療が必要なタイミングを見極める方針
  • 放射線治療病変部位、範囲、周囲臓器への影響を考慮した治療
    • 限局期の濾胞性リンパ腫で根治を目指して行うことがある
    • 病変が限られている場合に重要な治療選択肢
  • 抗CD20抗体療法:B細胞リンパ腫である濾胞性リンパ腫の中心的治療のひとつ
    • リツキシマブ、オビヌツズマブなどの抗CD20抗体を用いる治療
    • 単剤または化学療法との併用で使用
  • 化学免疫療法:腫瘍量が多い場合、症状がある場合、進行が目立つ場合に検討
    • 抗CD20抗体と抗がん薬を組み合わせる治療
    • ベンダムスチン+リツキシマブ、R-CHOP、R-CVPなどが選択肢
  • 維持療法
    • 初回治療で効果が得られた後、抗CD20抗体を一定期間継続する治療
    • 再発までの期間を延ばす目的
    • 初発進行期で高腫瘍量の症例では、抗CD20抗体併用化学療法後の維持療法が推奨される場面がある
  • 再発・難治例への治療
    • 前回治療の内容、奏効期間、年齢、全身状態に応じた治療選択  - 抗CD20抗体再投与、化学療法、分子標的薬、免疫療法などを検討  - 状況により自家造血幹細胞移植CAR-T細胞療法などが検討されることがある  - 形質転換が疑われる場合は再生検を行い、より進行の速いリンパ腫として治療方針を再検討
  • 支持療法・長期フォロー:長期にわたる経過観察が必要な病気なので、症状がない時期も定期受診が重要
    • 感染対策、ワクチン、貧血や血球減少への対応
    • 治療にともなう副作用、二次がん、再発、形質転換の確認

濾胞性リンパ腫のタグ

からだ