そくていきんまくえん
足底筋膜炎
足の裏の筋肉(足底筋)が、かかとの骨にくっつく部分で細かな断裂を起こした状態
2人の医師がチェック 37回の改訂 最終更新: 2018.12.03

足底筋膜炎の原因:ランニング・合わない靴・扁平足など

足底筋膜炎の主な原因は、足の裏に広がる足底筋膜を使いすぎることです。歩行などの日常生活や運動で繰り返し引き伸ばされたり、かかとへの大きな衝撃を受けたりすることで傷つき、修復がうまくいかなくなると炎症が起きて足底筋膜炎を引き起こします。足底筋膜に負担がかかる足の骨格構造や運動などが原因となります。

1. 足底筋膜炎が起こる仕組み

足底筋膜炎の原因について理解しやすくするために、まず足底筋膜炎が起こる仕組みについて説明します。

足底筋膜炎は足底筋膜に炎症が起こった状態です。足底筋膜はかかとから足の指まで足の裏全体に広がっています。足底筋膜は足の裏にかかる地面からの衝撃を吸収したり、足のアーチ(土踏まず)を強く維持して、足を蹴り出しやすくしたりする働きをしています。そのため、歩行時や運動時には引き伸ばされる力と足をついた時の荷重による力が足底筋膜にかかり、損傷や変性が起こるとされています。通常は日々の小さな損傷は修復されて元に戻りますが、損傷が大きかったり繰り返し損傷が起きたりして修復がうまくいかないと、足底筋膜炎が起きることがあります。

つまり、足底筋膜に過度に負担が加わるような日常生活や運動習慣が足底筋膜炎の原因になります。どのようなことが足底筋膜炎の危険因子になるのか、具体的に説明します。

2. 足底筋膜炎の危険因子

足底筋膜炎を引き起こしやすい要因には次のようなものがあります。

  • スポーツ・運動
  • 長時間の立ち仕事
  • 不適切な靴の使用
  • 加齢
  • 足の骨格の問題:扁平足、凹足
  • 肥満BMI>30)

一つひとつについて具体的に説明していきます。

スポーツ・運動:ランニング・マラソン・バスケ・剣道など

スポーツや運動は足底筋膜に負担がかかるため足底筋膜炎の原因になります。。スポーツのなかでも足底筋膜炎の原因になることが多いスポーツは次の通りです。

  • ランニング
  • マラソン
  • バスケットボール
  • 剣道

それぞれのスポーツが足底筋膜炎を起こす仕組みを説明します。

◎ランニング・マラソン

長時間走るランニングやマラソンは足底筋膜炎の起こりやすい運動です。

地面を蹴り出す時は、足の指が反り、足の裏がピンと張って足底筋膜が伸ばされます。伸ばされた足底筋膜がバネのように戻ろうとする力で前に進む力が起こり、足を蹴り出す力が強くなります。ランニングやマラソンでは、このような足底筋膜が引き伸ばされたり縮んだりする動きの繰り返しが長時間続き、足底筋膜に過度の負担がかかります。そのためランニングやマラソンなどは足底筋膜が炎症を起こす原因になります。

◎バスケットボール

バスケットボールではジャンプや踏み込み動作が多いため、足の裏全体にかかる荷重が大きく、足底筋膜が強く引き伸ばされて損傷が起こります。ジャンプでは体重の7-8倍の荷重が足の裏にかかると言われています。

◎剣道

剣道は踏み込み動作によるかかとへの荷重が大きいスポーツです。足を踏み込む際は足底筋膜は強く引き伸ばされます。また、足底筋膜とかかとの骨が付着している部分に強い衝撃が加わることで炎症が起こりやすくなります。さらに、剣道は硬い床の上で裸足で行うスポーツであり、足の裏に加わる衝撃が靴を履いて行うスポーツより大きいため、足底筋膜炎を起こしやすいスポーツです。

長時間の立ち仕事

長時間の立ち仕事は足の裏に常に体重がかかっている状態です。足底筋膜全体や、足底筋膜とかかとの骨との付着部分が常に引き伸ばされている状態であるため、損傷を起こして足底筋膜炎を起こします。

不適切な靴の使用

足の形に合わない靴を履いていると足全体に負担がかかって足底筋膜炎の原因になります。例えば、大きすぎる靴は体重がかかった時に足のアーチ(土踏まず)が崩れて足底筋膜に負担がかかりやすくなります。硬い靴底の靴では地面からの衝撃吸収が少なく、足裏へ伝わる衝撃が強くなります。また、ハイヒールは甲高(土踏まずのくぼみが高い状態)を引き起こすことで足底筋膜に負担がかかります。

加齢

加齢に伴って足底筋膜の柔軟性が弱まると、足底筋膜が引き伸ばされたときなどに傷つきやすくなり足底筋膜炎が起こりやすくなります。足底筋膜はふくらはぎの筋肉の膜とつながっており、加齢によってふくらはぎの筋肉の柔軟性が低下することや、足裏の筋肉が弱くなって足のアーチがつぶれることなども足底筋膜炎の原因になります。

足の骨格の問題:扁平足・凹足

足のアーチ(土踏まず)には、歩いたり走ったりする時に受ける地面からの衝撃を和らげる働きがあります。そのため、土踏まずの形が崩れる扁平足(へんぺいそく)や凹足(おうそく)などの足の構造によっても足底筋膜炎になりやすくなります。これらの足の構造は生まれつきの場合もありますし、足に合わない靴の使用、体重の変化、加齢などで起こる場合もあります。

扁平足

扁平足(へんぺいそく)は土踏まずがない状態で、足の裏全体が平らになって地面につきます。赤ちゃんの時はほとんどの人に土踏まずはありませんが、成長とともに足の裏にくぼみができてきて、小学校高学年頃になるとほとんどの人に土踏まずができます。しかし、加齢で筋肉や腱が衰えた場合や、肥満やスポーツで負担がかかりすぎた場合、足首の捻挫で関節が硬くなった場合には、土踏まずがなくなって扁平足が起こることがあります。

扁平足では足の裏に体重がかかりすぎる状態になります。土踏まずがなくなってかかとが内側に傾くため足底筋膜が常に伸ばされた状態になり、大きな負担がかかり足底筋膜炎を起こします。

◎凹足(ハイアーチ、甲高)

凹足(おうそく)はハイアーチや甲高とも呼ばれ、扁平足とは逆に土踏まずの部分が高い状態です。この状態では足底筋膜が常に引き延ばされるため、足底筋膜炎を引き起こします。凹足は生まれつきであったりや内科の病気が原因であったりしますが、ハイヒールをたくさん履くことも原因になります。

肥満

肥満では体重が重いために足の裏に大きな負担がかかります。歩行やジャンプなどでも通常の人よりも足底筋膜に大きな負担がかかるため、損傷しやすくなります。また、肥満では扁平足になりやすいことも足底筋膜炎を引き起こしやすくする要因の一つです。

BMI30以上では足底筋膜炎が起こりやすいという報告があります。足底筋膜炎を治すためだけでなく、心臓や血管の病気を防ぐためにもBMI25を目安に減量することをお勧めします。

◎BMIについて

BMIとはボディマス指数(Body Mass Index:BMI)とも呼ばれ、体重と身長から計算ができる肥満度を表す指数です。

BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))

肥満の判定基準は国によって異なります。日本では、日本肥満学会によりBMI25以上が肥満とされ、BMIが22になる時がもっとも病気になりにくい状態で標準体重と呼ばれています。WHO(世界保健機構)の基準では30以上が肥満とされています。

【参考文献】

J Bone Joint Surg Am. 2003 May;85-A(5):872-7.

J Foot Ankle Surg. 2001 Nov-Dec;40(6):351-6.