エルシニア腸炎の基礎知識
POINT エルシニア腸炎とは
エルシニア属の菌による感染症です。エルシニアを保菌している動物に触れたり食べたりすることで人間にうつります。主に腸で感染を起こしますが、腸以外で感染を起こすこともありその場合は極めて重症になります。主な症状は下痢・腹痛・吐き気・嘔吐・発熱・頭痛などです。重症になると、息切れや強い腹痛、むくみなどが現れます。 便や血液の検査を行い診断します。治療には抗菌薬を用います。エルシニア腸炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や感染症内科を受診して下さい。
エルシニア腸炎について
エルシニア腸炎の症状
エルシニア腸炎の検査・診断
- 診断に役立つ検査
- 便の
細菌検査 でエルシニア菌に感染していることを証明する - 血液検査でエルシニア菌に対する
抗体 の増加を確認する
- 便の
エルシニア腸炎の治療法
抗菌薬 を使わなくても治ることも多い- 重症であったり持病があるような場合は、抗菌薬を用いて治療する
- アミノグリコシド系抗菌薬
- テトラサイクリン系抗菌薬
- ニューキノロン系抗菌薬
- セフェム系抗菌薬
- ペニシリン系抗菌薬
- ST合剤
- 効果的な予防方法や再発予防
- エルシニア菌は、冷蔵庫内などの低温環境でも増殖する為、賞味期限が過ぎたものは処分する
- 生肉を避ける
- 動物を触ったら、手を洗う
エルシニア腸炎の経過と病院探しのポイント
エルシニア腸炎が心配な方
エルシニア腸炎は食中毒として見られる感染症の一つであり、食用肉や牛乳からの感染が知られています。主な症状はその他の一般的な食中毒と同じで、嘔吐、腹痛、下痢、熱といった症状が出現します。このような症状が出た場合、そして特に、同じものを食べた方にも同様の症状が出ている場合にはエルシニア腸炎を始めとする食中毒の可能性が考えられます。
エルシニア腸炎を疑った場合には、まずはお近くの内科クリニックを受診するようにしましょう。一般内科でも良いですし、その中でも絞り込むのであれば消化器内科が専門の診療科です。診断は便からエルシニア菌が検出されるかどうかで確定します。しかしこの検査は、すぐに結果が出るものではありませんので、検査を行うことなく「エルシニア腸炎の疑い」または「感染性胃腸炎の疑い」といった暫定的な診断で治療を行います。このような腸炎の多くは抗菌薬の使用で改善しますので、原因がエルシニア菌だということが分からなくても結果的には治ってしまう場合もあります。ただし、抗菌薬が効かない腸炎や、抗菌薬を使用しない方が良い腸炎もあるため、症状や経過から大きな方向性(細菌性かウイルス性か、検査を行って病原体を突き止める必要性がどの程度高いかなど)を判断するのが医療機関の主な役割となります。
この判断をする上で、どこで感染したかという情報がとても大切ですので、直近でどのような食事をとったか、周囲で他に症状のある人はいないか、海外旅行後の方はいつからいつまでどこに滞在していたかを医師にぜひ伝えてください。
エルシニア腸炎でお困りの方
エルシニア腸炎の場合に気をつけなければならないのが、脱水からの衰弱を予防することです。下痢が治まらないことで体の水分が失われ、また吐き気や食欲不振によって水分摂取量も減ってしまいます。すると脱水になって余計に食欲がなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
脱水症の治療は、不足している水分に加えて塩分もしっかりと摂取することです。スポーツドリンクを飲むことができればそれが最も適切な治療になりますし、スポーツドリンクでは塩分がまだ薄いため、食塩を溶かして飲むのも良いでしょう。塩辛くて飲めないほどにする必要はありませんが、ほんのり塩の味を感じるくらいだとより適切です。どうしても口から飲めない方の場合には入院の上で点滴を行い、必要な量の水分をとるようにします。
エルシニア腸炎は人から人へ直接感染することはまれな疾患ではありますが、家族や近くにいる方、そしてご本人も手洗いは頻回に行うようにして下さい。
エルシニア腸炎が含まれる病気
エルシニア腸炎のタグ
エルシニア腸炎に関わるからだの部位
