にゅうびきょうすい
乳び胸水
胸管(胸の中のリンパ管の一部)に傷がつくなどの原因で、乳び(乳白色のリンパ液)が漏れて胸水(胸腔に溜まる水分)として溜まる状態
5人の医師がチェック 35回の改訂 最終更新: 2018.02.05

乳び胸水の基礎知識

POINT 乳び胸水とは

乳び胸水は何らかの原因で胸管(胸の中のリンパ管の一部)が傷つくなどして、乳白色のリンパ液が漏れることで胸水が溜まった状態です。悪性リンパ腫などがんの影響、胸部手術の影響、交通事故といった怪我の影響、などが原因で起こることが多いです。症状は出ないことも多いですが、胸水の溜まりが多くなると咳・胸部違和感・呼吸困難感などが出現します。症状と病歴、画像検査で乳び胸水の可能性が疑われ、体外から針を刺して胸水を採取(胸腔穿刺)して調べることで診断します。治療は軽症であれば絶食+点滴や低脂肪食にして様子を見る場合が多いですが、重症であれば手術をするなどして治療します。乳び胸水が心配な人や治療したい人は、呼吸器内科や呼吸器外科を受診して下さい。

乳び胸水について

  • 何らかの原因で胸管(胸の中のリンパ管の一部)に傷がつくなどして、乳び(乳白色のリンパ液)が漏れて胸水胸腔に溜まる水分)として溜まる状態
    • 胸腔とは、肋骨に囲まれる胸の内側でかつ肺の外側の空間のこと
    • 胸管を通るリンパ液は脂肪が多く乳白色であるため、乳びと呼ばれる
  • 主な原因は外傷性と非外傷性に分かれる
    • 外傷性
      ・胸部手術後
      ・怪我や事故
      ・重量挙げや激しい咳や嘔吐
    • 非外傷性
      悪性腫瘍悪性リンパ腫など。肺がんでは手術歴がなければ通常は乳糜胸にならない)
      リンパ脈管筋腫症
    • まれではあるが、生まれつき乳び胸水がある場合もある(先天性乳び胸水)

乳び胸水の症状

  • 軽症の場合には症状が出ない
  • 漏れだしたリンパ液の量が多い場合の症状
    • 呼吸困難感
    • 胸の違和感

乳び胸水の検査・診断

  • 画像検査
    • 胸部レントゲンX線写真)
    • 胸部CT
    • 超音波(エコー)検査
  • 胸水が溜まっていることが画像検査で分かった場合は、針を刺して溜まっている胸水を抜いて検査
    • 胸水の見た目は乳白色
    • 胸水中のトリグリセリド中性脂肪)が高値であれば診断が確定

乳び胸水の治療法

  • 乳び胸水の溜まりが少量であれば経過観察を行う
    • 量が多ければ、胸腔ドレナージ(肋骨の隙間にチューブを入れる)で乳び胸水を体外へ排出する
  • その後、まずは保存治療を行う
    • 絶食をして点滴から栄養を補給して経過観察する
    • 食事を摂る場合には低脂肪食かつ高カロリー食にする
    • オクトレオチド(商品名:サンドスタチン)やステロイドなどの薬剤を使用する場合もある
  • 保存治療の効果が不十分の場合
    • 手術治療を行う
      ・胸管結紮術(胸管へリンパ液が流れないようにする)
      ・胸膜癒着術(乳び胸水が溜まる空間を無くす)

乳び胸水の経過と病院探しのポイント

乳び胸水でお困りの方

肺の周りに水分が溜まってしまった状態を胸水と呼びますが、その中でも乳びといって脂肪を含む体液が溜まっているのが乳び胸水です。乳びはリンパ管やその先の胸管を通っており、この乳びが溜まっているということは、リンパ管または胸管がどこかで傷ついているということを示します。乳び胸水は一つの病気というよりは症状・状態ですので、溜まった胸水を取り除くための治療と、乳び胸水が溜まった原因に対する治療が両方必要です。

胸に溜まった胸水が少量であれば、特に治療を行わず自然に吸収されるのを待つことも可能です。しかし少量であってもその瞬間も胸水が溜まり続けている場合や、ある程度以上の量の乳びが溜まっている場合には、胸腔穿刺や胸腔ドレナージといって、胸に針を刺して溜まった胸水を抜き出す治療を行います。この場合、原則として入院が必要となります。

胸腔穿刺、胸腔ドレナージを行ってもその後の回復が良くない場合、そして根本的な乳び貯留の原因を取り除くためには手術や胸膜癒着術を行います。

大切なのは乳び胸水の原因をつきとめて治療につなげることです。交通事故などの外傷であれば原因は一目瞭然なのですが、特にケガを負ったようなこともない中で乳び胸水だけが見つかったとなると、胸の中の腫瘍やリンパ管の病気などが考えられます。CT検査が基本的な検査ですが、それ以上となると試験開胸といって原因を調べるため、そして治療の目的を兼ねて手術を行うことがあります。その場合には呼吸器外科が専門の科です。呼吸器外科のある病院や、呼吸器外科専門医のいる病院で詳しい検査を検討することも選択肢の一つでしょう。

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