ひほじきんりんぱしゅ
非ホジキンリンパ腫
リンパ球からできたがん。悪性リンパ腫の一種で、悪性リンパ腫の90%以上を占める
7人の医師がチェック 91回の改訂 最終更新: 2024.08.11

非ホジキンリンパ腫の基礎知識

POINT 非ホジキンリンパ腫とは

リンパ球は血液中を流れる白血球の一種であり、免疫に関わる細胞です。リンパ球に由来する悪性腫瘍(がん)のことを悪性リンパ腫と呼びます。悪性リンパ腫にも様々なタイプがありますが、ホジキンリンパ腫はそのうちのひとつです。ホジキンリンパ腫は日本人における悪性リンパ腫全体の8-10%ほどを占めています。それ以外の90%強の悪性リンパ腫を総称して非ホジキンリンパ腫と呼んでいます。非ホジキンリンパ腫の症状は、痛みを伴わないリンパ節の腫れ、発熱、体重減少、寝汗などです。腫れているリンパ節などを採取して、顕微鏡で腫瘍細胞を確認することで診断されます。病状を評価するために、CT検査やPET検査などの画像検査、血液検査なども行われます。治療は抗がん剤や放射線治療で行います。骨髄移植を行うこともあります。治療による治癒を期待できる人もいます。非ホジキンリンパ腫が心配な人や治療したい人は血液内科を受診してください。

非ホジキンリンパ腫について

非ホジキンリンパ腫の症状

  • リンパ節の腫れ(通常痛みは出ない)
  • B症状(発熱、体重減少、寝汗を合わせて専門的にB症状と呼ぶ)
    • 発熱(38℃以上)
    • 体重減少
    • 寝汗(医学的には盗汗:とうかん、と呼ぶことが多い)
  • 脾臓が腫れることもしばしばある

非ホジキンリンパ腫の検査・診断

  • リンパ節生検、病理検査
    • 腫れているリンパ節を針で刺して採取する、あるいは手術するなどして採取する
    • 採取したリンパ節を顕微鏡で確認する
    • 染色体検査を行う
  • 血液検査
    • 全身の状態をチェックして治療方針決定に役立てる
    • 血液中の白血球リンパ球の異常がないか調べる
  • 画像検査:腫瘍の大きさや位置などを調べる、治療効果を判定する
    • CT検査
    • MRI検査
    • PET検査
  • 骨髄検査:骨髄にがん細胞がないかを調べる
    • 腰骨や胸の骨から骨髄を採取して顕微鏡で確認する
    • 行われない場合もある

非ホジキンリンパ腫の治療法

  • タイプによって治療方法は異なるが、化学療法抗がん剤)や放射線治療が中心となる
    • 治療内容の詳細はそれぞれのタイプのリンパ腫に関する項目参照
  • 造血幹細胞移植を行う場合もある

非ホジキンリンパ腫に関連する治療薬

抗がん性抗生物質(アントラサイクリン系)

  • 細胞の増殖に必要なDNAやRNAの合成を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
    • 本剤は細胞内のDNAに結合するなどしてDNAやRNAの合成を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質などと呼ばれる
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NK1受容体拮抗薬

  • 抗がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄に嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや中枢神経に多く存在するNK1(ニューロキニン1)受容体が作用を受け嘔吐中枢に刺激が伝わる
    • 本剤はNK1受容体を阻害することで嘔吐中枢への刺激を抑える
  • 原則として、5-HT3受容体拮抗薬(吐き気止め)と併用する
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5-HT3受容体拮抗薬

  • 抗がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐はいくつかの経路によって延髄にある嘔吐中枢に刺激が伝わることでおこるとされる
    • 伝達物質セロトニンは脳のCTZ(化学受容器引金帯)や消化管にある5-HT3受容体を介して嘔吐中枢へ刺激を伝える
    • 本剤は5-HT3受容体への拮抗作用により、嘔吐中枢への刺激を阻害する
  • 薬剤によっては、放射線照射や手術後における消化器症状(吐き気など)に使う場合もある
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