男性不妊症の検査について
男性不妊症が疑われる場合は、診察や検査によって、原因が詳しく調べられます。診察や検査の中では精液検査が重要です。精液検査からは、精子の量や運動率などが分かり、原因の推定だけではなく、治療を選ぶ際の判断材料にもなります。
1. 問診
【男性不妊症の人への問診例】
- 不妊の期間
- 性交時の様子
- パートナーの不妊症の検査について
- 不妊治療の有無
- 内服薬の有無
- 過去にかかったことがある病気
不妊症は避妊しない性行為を1年以上行っても妊娠にいたらないことを指します。不妊症の期間が診断のうえで肝になるので、詳しく説明してください。原因を推定する際には性交時の様子も重要な情報なので、恥ずかしい内容ではありますが、できるだけ正確に答えてください。 不妊症の約半分は男性に要因があると言われていますが、もう半分の要因は女性にあると言われています。男性不妊症の検査と並行して、パートナーもしっかり調べてもらってください。
2. 身体診察
身体診察とは、お医者さんが患者さんの身体を観察したり、触れたりして、全身をくまなく調べることを指します。男性不妊症では精巣の大きさや形、硬さなどが詳しく調べられます。気になっている点がある人は、身体診察のときに詳しく調べてもらってください。
3. 精液検査
精液検査では精液や精子の量や見た目などを調べます。精液の基準値は次のものが用いられることが多いです。
【WHO(世界保健機構)の精液検査の正常値】
- 精液量:1.5mL以上
- 精子濃度:1500万/mL以上
- 総精子数:3900万以上
- 正常形態率:4%以上
- 総運動精子数(総精子数×運動率)1560万以上
総運動精子数は治療の方向性を決めるうえで重要です。例えば、総運動精子数が正常値を超えている場合などは、自然妊娠が期待できるので、不妊治療を先延ばしにすることがあります。一方で、総運動精子数が著しく少ない場合は人工授精や生殖補助医療を積極的に使う判断材料の1つになります(人工授精や生殖補助医療については「こちらのページ」を参考にしてください)。
4. 血液検査
血液検査では、FSH(卵胞刺激
また、抗精子
5. 超音波検査(エコー検査)
参考文献
・「標準泌尿器科学」、(赤座英之/監)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011